2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2140
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 耀 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 双曲的測地空間 / Gromov 境界 / 測地境界 / 擬測地境界 / エンドの空間 / 擬エンドの空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
固有な双曲的測地空間の無限遠に関する概念や性質は双曲群論において非常に重要な役割を果たしてきた. 有限生成群に対し、有限生成系に関する Cayley グラフを考えるとそれは必ず固有な測地空間となり, 特に固有な双曲的測地空間になるような群を双曲群という. つまり双曲群論の文脈では, “固有な”双曲的測地空間を考えることは自然であったが, 近年は双曲群の一般化に関する議論の中で有限とは限らない生成系に関する Cayley グラフを考える場面も出てきている. その場合は得られた Cayley グラフは固有とは限らないため, 固有でない双曲的測地空間に関する議論が重要になることが期待される. そこで双曲的測地空間が固有な場合に成り立つ性質や概念を固有でない場合に綺麗に拡張したいと思い研究に取り組んできた.
具体的には, 「固有な双曲的測地空間において, 測地境界からエンドの空間への自然な写像が連続かつ全射で, 各エンドのファイバーが測地境界の連結成分になる」という事実を空間が固有でない場合に拡張した「(固有とは限らない)双曲的測地空間において, 擬測地境界から擬エンドの空間への自然な写像が連続かつ全射で, 各擬エンドのファイバーが擬測地境界の連結成分になる」 という主張が成り立たないかどうか考えてきた. 順極限の概念を用いて擬エンドの空間の定義をし、自然な写像が連続であることは確認できている. 残すは全射性とファイバーが連結成分になるかどうかであるが、残念ながら現在も未解決なままである. 困難な部分はどちらも共通しており, ある条件下での擬測地半直線の存在が最大の関門である. いまだに解決には至っておらず大変厳しい状況ではあるが, 最近になって asymptotic cone の概念が突破口になるのではないかと気づき現在も研究を続けている.
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