2022 Fiscal Year Annual Research Report
塩基部修飾核酸による低毒性かつ高活性なアンチセンス核酸の創製
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22J11795
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三上 敦士 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 核酸化学 / アンチセンス核酸 / 毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請テーマである「塩基部修飾核酸による低毒性かつ高活性なアンチセンス核酸の創製」において効率的な塩基部修飾核酸の合成が重要である。そこで、修飾核酸ライブラリーを薗頭反応によって簡便に構築する手法の開発に取り組んだ。副反応が進行してしまうために目的オリゴヌクレオチドの単離収率は30%程度にとどまったが、薗頭反応のパラジウムカップリング自体は80%程度と良好な収率で進行していた。収率が低いためにアンチセンス核酸の生物活性試験用ライブラリー構築には適さなかったが、物性評価用のライブラリー構築には適用できると考えられ、アンチセンス核酸の二重鎖形成能を複数の塩基部修飾核酸において評価した。詳細な結果については日本薬学会第143年会にて発表し、論文投稿の準備を進めている。 次に、複数の塩基部修飾核酸を合成し、それぞれアンチセンス核酸へと導入した。導入する化学修飾に関しては、1,6-ヘキサンジオールやリポ酸などの液液相分離阻害能を有すると報告されている低分子の構造を模倣し、6炭素程度の脂肪鎖にカルボン酸やジオールを持つ構造などを主に採用することとした。現在、合成したアンチセンス核酸の細胞動態や毒性に関する生物学的試験を進めている。また、核内構造体パラスペックルに関して精力的に研究をされている先生と共同研究を実施することになり、パラスペックルが核内においてアンチセンス核酸の毒性とどのような機構で関わりを持っているのかについても明らかにする予定である。 また、アンチセンス核酸の毒性発現機構に関する文献調査の結果を核酸医薬学会第7回年会にて総説講演という形で発表した。多くの質問を頂き非常に有意義な議論となったと感じており、アンチセンス核酸の毒性に多くの研究者が注目しているという印象を強く受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
効率的なライブラリー合成法を確立することで研究を加速できると考えたが、多くの副生成物が確認されるなど予期していなかった結果が得られ、内容をまとめ論文投稿するまでに時間がかかってしまった。結果として予定に遅れが生じており、現在遅れを取り戻すために鋭意研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定に遅れが生じているものの申請課題に関連して共同研究を実施することになり、テーマ提案時には想定していなかったアッセイを行えることが可能になった。テーマ提案時にはアンチセンス核酸の毒性を低減させるという実利的な側面が強かったが、共同研究者が保有している遺伝子改変細胞を用いることでアンチセンス核酸の毒性発現機構に関して詳細な検討を行えることとなった。計画通り塩基部修飾核酸の細胞内動態や毒性に関してアッセイを進めるとともに、アンチセンス核酸の毒性発現機構を明らかにすることを達成したい。
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Research Products
(3 results)