2022 Fiscal Year Annual Research Report
Rubiconによる新規エクソソーム産生制御機構の解明
Project/Area Number |
22J12444
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳川 恭佑 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | エクソソーム / オートファジー / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソーム産生とオートファジーの関連は不明である。いくつかのオートファジー因子の欠損細胞ではエクソソーム産生が低下することが報告されているが、エクソソーム産生にオートファジー自体が必要か固有のオートファジー因子が必要なのかが明らかになっておらず、詳細な分子機構についても解明されていない。これらを明らかにするために、申請者らはオートファジー制御因子の中でエクソソーム産生を制御する因子を網羅的スクリーニングによって検証した。その結果、オートファジーの負の制御因子であるRubiconがエクソソーム産生が必要であることを見出した。Rubiconは一部が多胞性エンドソームに局在しており、既知のオートファジ―抑制経路と異なる経路でエクソソーム産生を制御していた。また、Rubiconの非オートファジー機能がいくつか報告されているが、それらとも異なった新規の経路であることが明らかとなった。Rubicon のインタラクトーム解析から得られた相互作用因子に対してスクリーニングを実施して、Rubiconと共に多胞性エンドソームで働く候補因子を同定した。Rubiconと新規因子は多胞性エンドソームの形成に必要であるという知見を得ており、Rubiconは多胞性エンドソーム上で内膜小胞形成を正に制御していることが示唆された。 個体でもRubiconによるエクソソーム制御が見られるか検証したところ、マウスの血清中エクソソーム量がRubiconノックアウトマウスで低下することを見出した。加齢に伴い血清中エクソソーム量は増加していたが、Rubiconノックアウトではこの増加を抑制していた。加齢にともなって老化関連エクソソームが血中に増加することが示唆されており、Rubiconの発現抑制によって老化関連エクソソームの分泌を低下させることができるのではないかと考えて検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Rubiconと共にエクソソーム分泌を制御する因子を同定することができた。また新規因子が多胞性エンドソームに局在することを見出し、Rubiconと共に多胞性エンドソーム形成を制御しているという知見を得ることができた。上記において、当初の予想より大きく分子機構の解明が進んでおり、さらに新規因子関連の知見をプロテオミクス等で次年度に検証することができる準備段階に入っているため、研究の進捗は極めて順調であると考えられる。またマウス個体における知見も内容物解析ができる段階まで準備が進み、生体での本機構の詳細を解明できる可能性が高まっており、当初の予想以上の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
Rubiconと新規因子の多胞性エンドソーム上での動態を詳細に観察・検証することで、さらなる分子機構の解明を目指す。また、マウスの血清エクソソーム内容物に変化が見られないかマイクロRNAシークエンス解析を施行する準備が整っており、内容物変化について検証を進める予定である。また新規因子の相互作用因子についてプロテオミクスを行う準備を進めており、多胞性エンドソームでどのような経路でエクソソーム産生を制御しているかを詳細に検証する予定である。
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