2023 Fiscal Year Annual Research Report
毛包の上皮―間充織相互作用を制御する細胞外環境の解明とin vitro再構築
Project/Area Number |
22KJ2160
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
待田 大輝 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 上皮ー間充織相互作用 / 細胞外マトリックス / 基底膜 / ラミニン / 皮膚 / 毛包 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮―間充織相互作用は基底膜(シート状の細胞外マトリックス(ECM))を境界として成立するが、基底膜がどのように関与するかは理解が進んでいない。本研究では、毛再生を司る毛芽(上皮)と毛乳頭(特殊な線維芽細胞の凝集塊)の相互作用に着目し、この部位の基底膜が毛芽と毛乳頭間の相互作用を制御する分子メカニズムの解明を目的とした。これまでの研究で、毛乳頭細胞は、線維芽細胞であるにも関わらず、周囲が間質のECMではなく、基底膜のECMで構成されていることを明らかにしていた。毛包は周期的に再生するため、毛芽―毛乳頭間の相互作用様式も周期的に切り替わる。従って、毛乳頭のECMも、毛包の再生と同調して変化すると予想した。そこで、免疫組織染色で毛包の再生周期におけるECMの局在を解析したところ、毛乳頭の周囲には常にラミニンα1, α2, α4が沈着し、休止期特異的にラミニンα5が毛芽との境界の近くにフック状に沈着していた。毛乳頭細胞がこれらECM分子と接着するか明らかにするため、細胞接着アッセイを実施した。毛乳頭細胞はα5鎖を含むラミニンには低濃度から接着し、α1鎖, α2鎖, α4鎖を含むラミニンにはより濃い濃度から接着した。毛乳頭細胞とα1鎖, α2鎖を含むラミニンの接着はインテグリンα7β1が、α5鎖を含むラミニンとの接着はインテグリンα3β1が、α4鎖を含むラミニンとの接着はα3, α6, α7サブユニットを含むインテグリンが仲介していた。FACSにより、毛乳頭細胞は通常の線維芽細胞よりもインテグリンα3とα7を高発現することを確認した。これらから、毛乳頭細胞はラミニンと接着するために特化された線維芽細胞であり、ラミニンは毛包の再生周期に応じて毛乳頭細胞との接着活性が異なる足場を提供することで、毛再生に関わる可能性が示唆された。この成果に基づく毛乳頭の3次元培養系の確立が期待される。
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