2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J20150
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北山 航 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 室町幕府 / 訴訟制度 / 奉行人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、室町幕府奉行人の存在形態の分析を通じて幕府内における政務処理の実態や幕府権力の展開過程を検討するものである。その際、「幕府へ直結する存在」として奉行人層が一定の求心力を有していた点に注目し、荘園領主層や武家勢力との関係に注目したい。それによって、室町幕府の訴訟処理方式を当該期の社会的変容の過程から捉え直すことができると考えられる。 採用初年度にあたる本年度は、活字史料の網羅的収集に加え、主に東京大学史料編纂所で室町・戦国期における寺社・武家関係史料の収集・調査を行い、研究を実施した。今年度の研究実施状況は以下の通りである。 (1)応仁・文明の乱前後における室町幕府奉行人の動向について、当該期における有力奉行人層の政治的立ち位置の変化や文書発給に留まらない活動の実態から検討を加えた。この成果は現在、学術雑誌へ投稿中である。 (2)室町期、東寺に設置された担当奉行である東寺奉行の活動形態を検討し、その就任経緯の変化や役割拡大の過程を考察した。この成果は2022年12月に東寺文書研究会で口頭報告した上、学術雑誌へ投稿中である。 (3)応仁・文明の乱以後に荘園現地の名主沙汰人を宛所とした幕府奉行人奉書が定着する経緯について、当該期の政治情勢や荘園領主層の動向から具体化を試みた。この成果は2023年2月に日本史研究会中世史部会で口頭報告をした上、来年度中に学術雑誌へ投稿することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料の収集・調査ともに順調に作業が進行しており、室町期における奉行人層の活動事例がある程度判明しつつある。特に写真や影写本などを通じて未翻刻史料を積極的に活用できた点は、本度の大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に検討した課題を論文化していく作業に加え、以下の課題に取り組む。 ①鎌倉後期~南北朝期の史料調査を進め、奉行人斎藤氏と他武家勢力との関係性について検討を進めたい。 ②奉行人と荘園領主層との関係のみならず、守護層に代表される武家勢力との関係から室町幕府の訴訟制度の変容過程を検討したい。 これらに加え、史料収集範囲をさらに広げることで新たな知見の獲得に努める。
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Research Products
(2 results)