2022 Fiscal Year Annual Research Report
曲面結び目のプラット表示に関する分類問題とその応用
Project/Area Number |
22J20494
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 順平 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 結び目 / 曲面結び目 / ブレイド / かんドル / 4次元トポロジー / ブレイド状曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
4次元空間内に埋め込まれた閉曲面を曲面結び目といい、2次元球面と同相な曲面結び目を2次元結び目という。ブレイド状曲面は4次元球体内で分岐被覆の構造を持つ境界付き曲面である。ブレイド状曲面を用いて曲面結び目を表示する手法としてプラット表示がある。曲面絡み目のプラット表示の複雑度をパラメータ化することで、正整数値の曲面結び目の不変量であるプラット指数が定義される。 本研究の目標は、プラット表示を用いて曲面結び目を理解するために必要な基礎理論の整備、及びプラット指数に関する曲面結び目の分類である。本年度行った研究は次の2つである。 (1) 対称カンドルは曲面結び目と相性の良い代数系である。また結び目対称カンドルは曲面結び目に対して定まる対称カンドルであり、曲面結び目の不変量を構成する上で重要な概念の1つである。本研究において、この結び目対称カンドルの表示をプラット表示から導出する手法を開発した。また結び目対称カンドルの表示を用いることによって対称カンドル彩色数と呼ばれる曲面結び目の整数値不変量が得られる。これにより、対称カンドル彩色数とプラット指数の不等式評価を与えることができた。この結果の応用として、与えられた正整数をプラット指数に持つ曲面結び目を無限個構成することができた。 (2) プラット指数の値が1となる曲面絡み目の分類はすでに判明している。本研究ではブレイド状曲面のブレイドシステムを用いることにより、狭義のプラット指数の値が2である2次元結び目はリボン型であることが分かった。 本年度の成果については国内外の研究集会や日本数学会で口頭講演を行った。本成果をまとめた論文は投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主にカンドル代数との関連について研究を行った。その結果、当初の研究目標の1つであった対称カンドル彩色によるプラット指数の評価を与えることができた。これはプラット指数の計算において有用な結果であると共に、橋トライセクション表示において類似の先行研究が存在することから、研究目標に掲げている橋数との相対的評価へ繋がるものである。 また曲面絡み目のプラット指数は定義の仕方により2つの異なる不変量が定義することが可能である。そのうちのプラット指数が2となる2次元結び目はリボン型という特別な曲面絡み目のクラスに限ることを示した。これはプラット指数を小さな値に持つ2次元結び目の特徴づけを与えたことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
曲面絡み目のプラット表示について、具体例の構成や表示から得られる性質の解明について引き続き研究を行う。特にプラット表示の同値変形の構成や2種類のプラット指数の差異について詳しく調査を行う。プラット表示は(1次元)絡み目の表示の拡張であるため、絡み目において知られている事実について曲面絡み目へ拡張を試みる。トライセクションとプラット表示は類似した概念であるが関連性については何も判明していない。この点についても研究を進めていきたい。
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