2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2261
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 孝文 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | モジュライ空間 / 接続 / ベクトル束 / パンルヴェ方程式 / 差分パンルヴェ方程式 / 見かけの特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は放物接続のモジュライ空間の記述を一般の種数、階数に対して与えることである。3階以上のモジュライ空間の研究は少ない。そこで初年度は射影直線上の3点で確定特異点を持つ3階の放物接続のモジュライ空間についての詳細な解析を行った。具体的には、この空間の自然なコンパクト化である放物phi接続のモジュライ空間を幾何学的不変式論を用いて構成し、放物phi接続のモジュライ空間の族が、A^{(1)*}_2型曲面の族と同型であることを証明した。ここで、A^{(1)*}_2型曲面とは坂井氏のパンルヴェ方程式の研究で現れた有理射影曲面であり、ある差分パンルヴェ方程式の初期値空間と同一視される。証明は、接続の標準形を見かけの特異点と双対座標を用いて与えることで行った。本年度はこの結果をプレプリントにまとめた。また、上記の結果を踏まえ、次の研究を行った。 射影直線上のn点確定特異点3階接続の標準形を模索した。n=4のとき、genericな接続に対して標準形を与えた。一方、特殊な接続に対して、3階3点と同様の方法では双対座標を定義できないことも判明した。また、nが6以上の場合、上記と同様の方法では標準形を与えることができないことが判明した。 A^{(1)*}_2型曲面の幾何学および対応する差分パンルヴェ方程式について、上記のモジュライ空間の記述をもとに考察した。A^{(1)*}_2型曲面の族はE_6型affine Weyl群の対称性を持つ。この対称性を放物phi接続の変換として解釈しようとした。また、対応する差分パンルヴェ方程式の導出を試みた。これらの課題については今後も継続して研究していく。
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