2022 Fiscal Year Annual Research Report
アクセシブル増強磁場を有する高屈折率誘電体メタサーフェスの開発と光化学反応場応用
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22J10942
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷部 宏明 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ナノアンテナ / 誘電体メタサーフェス / 磁気双極子繊維 / 光と物質の相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアクセシブルな磁場増強を有するメタサーフェスの開発とそれを光化学反応プラットホームとして応用することを目的としている。今年度は以下にのことに取り組み結果を得た。 (1)FDTDシミュレーションによる構造設計:シリカ基板上にシリコンナノディスクが配列している構造について、アクセスできる磁場増強場が最大となるように最適化を行った。このシミュレーションにより高さに対し直径が大きいときに発現するトロイダル双極子モードを用いることで磁場増強場を最大化できることを見出した。また、配列構造による隣り合うナノアンテナとのモードのカップリングによって更に大きな磁場増強が得られることを明らかにした。 (2)誘電体メタサーフェスの作製:シミュレーションをもとに実際に構造を作製し、ナノスフィアリソグラフィを用いることでシリコンを用いたメタサーフェスを作製した。作製したメタサーフェスがトロイダル双極子共鳴を有することを実験とシミュレーションで得られた透過スペクトルより明らかにした。 (3)メタサーフェス、光増感剤複合構造の作製:実際に光化学反応プラットホームとしての応用を目指し上記作製したメタサーフェスと光増感剤の複合構造の作製プロセスの開発を行った。メタサーフェスに直接光増感剤を修飾することによって、他の分子へのエネルギー移動を妨げない構造としている。吸光度測定及び発光測定から、そのプロセスによって複合体が作製できていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁場増強を有するメタサーフェスの構造最適化から、光化学プラットホーム応用の検討まで順調に進展している。メタサーフェスについては作製条件の見直しにより再現良く作製することができている。またメタサーフェスと光増感剤の複合系の作製プロセスも確立した。現在、実験系を構築しており、来年度から上記作製した光増感剤とメタサーフェスの複合体における光化学反応実験を始められる段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今後は光化学反応場としての検証を行う。今年度作製に成功した光増感剤とメタサーフェスの複合体において、まず初めに発光スペクトル測定と計算を組み合わせることで、一重項三重項間の遷移の促進を示す。様々なパラメータのメタサーフェスの複合体を作製することで、その励起増強メカニズムを明らかにする。その後、光化学反応の実験に移る。本研究ではモデル反応として一重項酸素の生成に着目する。メタサーフェスによって光増感剤の一重項三重項間の遷移を促進し、本来必要であった励起エネルギー以下で一重項酸素が生成されることを示す。具体的には、一重項酸素による1,3ジフェニルイソベンゾフラン分子の分解反応から生成速度を見積もる。様々なパラメータのメタサーフェスや励起波長を用いこの実験を行い、実際にメタサーフェスの共鳴による化学反応の促進を示す。
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