2022 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児・低出生体重児の衣生活支援と被服設計
Project/Area Number |
22J11781
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉良 美緯 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 重症心身障害児 / 低出生体重児 / 衣生活 / 物理特性 / 熱・水分・空気の移動特性 / KES / 介護支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症心身障害児(者)・低出生体重児・介護者の生活の質の向上を目的として、最も身近な衣環境学の観点から生活支援に取り組んだ。 研究計画として、(1)肌に直接触れる素材の特性と評価、(2)被服設計のための身体寸法計測を実施予定で、2022年度は(1)の実験において①カニューレホルダー、②マスクの素材、③肌着用編布を試料とし、KES試験機(㈱カトーテック製)を用いて試料の物性を捉えた。前年度の実験では②マスクの素材、③肌着用編布について、素材単独の状態で力学・表面特性、熱・水分・空気の移動特性を測定したが、2022年度は実際の着用場面を想定した実験へと発展させた。 (1)-①カニューレホルダーの実験では、自治体より在宅ケア用に支給されるホルダー、病院・施設等で用いられるホルダーの中から3 種を試料とし、力学・表面特性を測定した。未使用の状態とともに、使用時に汗や唾液でぬれる状態を想定し、人工汗液(含水率50%および100%)、人工唾液(含水率50%および100%)の5条件を設定した。今後、熱水分移動特性の測定、着用感に関する主観評価との関係を捉える実験を計画している。本実験については、下記に示す口頭発表をおこなう予定である。 (1)-③肌着用編布の実験では、番手・繊維組成の異なる編布15種を試料とし、人体の皮膚を模した熱板と、試料との間の温度・湿度の変化を600 秒間測定した。着用時に人体の皮膚と肌着との間にゆとり量が生じることを想定して、熱板と試料との間に8㎜の間隙がある状態と、接触状態の2条件を設定した。外気の温度の違いによる衣服内気候を検討するため、 標準、寒冷、暑熱の3条件において、温・湿度変化と600秒後の熱損失を測定している。これらの実験結果をまとめ、下記に示す口頭発表をおこなった。今後、論文投稿を予定しており現在執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究計画のうち、(1)肌に直接触れる素材の特性と評価に関する実験では、物理的な測定を複数回実施し、それらのデータを用いて学会発表をおこなった。おおむね研究計画にそって実験を実施出来ており、現在論文投稿の準備中である。 一方、(2)身体寸法計測については、新生児集中治療室において深度センサを用いた非接触の計測を計画していたが、新型コロナウイルスの影響により、病棟を訪問するフィールドワークを実施することができなかった。今後、計測の対象者を一般の健康な学生、もしくは在宅療養児に変更し、実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、(1)肌に直接触れる素材の特性と評価では、①カニューレホルダーの熱水分移動特性の測定と、①および③肌着用編布の試料について、既に測定した物理的なデータと、着用感に関する人間の主観評価との関係を捉える実験を予定している。これらのデータを用いて、学会での口頭発表、論文投稿を予定している。 (2)身体寸法計測については、円柱状の物体を被写体として、深度センサを用いた非接触の三次元データを取得することを試みている。今後、円柱状の物体から、医療用新生児モデル(シリコン製の医療実習用人形)、健康な成人へと対象を段階的に変更し、被服設計のための三次元計測を実施する予定である。現在、人間を対象とする計測について、倫理審査申請書を作成中である。
|
Research Products
(2 results)