2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J22051
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森脇 翔悟 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 脳内神経ペプチド / 体温調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
恒温動物にとって、気温の変化に関係なく体温を常に一定に保つことは生命を維持するために非常に重要である。この体温調節では、脳が司令塔となり身体の熱をコントロールしている。しかし、実際に体温調節を担っている脳内物質については未だ不明な点が多い。我々は、これまでに低温環境下で産生が低下する脳内神経ペプチドを見出し、この脳内神経ペプチドをマウスに投与することで、体温やエネルギー消費量が低下することを明らかにした。本研究では、この脳内神経ペプチドに着目し、体温調節機構の更なる解明を目指す。今年度は、上記の脳内神経ペプチドの前駆体遺伝子を過剰発現させたマウスを作製し、このマウスを低温飼育した。その結果、本来、低温環境下で維持されるべき体温が前駆体遺伝子の過剰発現によって低下することが明らかになった。これは、低温環境下での体温維持に上記の脳内神経ペプチドが重要な役割を果たしていることを示唆している。この研究成果を関連学会で発表し、他研究者との情報交換を行い、今後の研究の方向性について議論した。また、体温調節は自律性体温調節(体内の熱産生と熱放散の調節)と行動性体温調節(寒い時に暖かい場所を好むなど)に分類される。これらを評価するために、今年度はサーモグラフィカメラによる表面温度測定や温度嗜好性試験を確立した。加えて、今後は遺伝子改変マウスを用いた解析を進めていく予定であり、そのために必要なウイルスベクターの作製と実験手技の確立を進めた。これらは、次年度以降の研究において体温調節機構の解明を円滑に進めることに繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、光遺伝学的手法を用いた自律性体温調節への影響の解析と機能喪失型実験を進める予定だった。後者は予定通りウイルスベクターを作製することができたが、前者は光遺伝学的手法を確立するのに想定よりも時間がかかっている。しかし、次年度には確立できる見通しが立っており、次年度の予定であった行動性体温調節への影響を解析する手法も先行して確立することができたため、本研究全体の進行度に遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光遺伝学的手法を確立し、自律性体温調節や行動性体温調節への影響を解明していく予定である。また、機能喪失型実験も進めていき、脳内神経ペプチドによる体温調節機構の詳細を解明していく。
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