2022 Fiscal Year Annual Research Report
砂礫混合土の微視的モデルによる初期状態量と強度の評価に関する研究
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22J15374
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田上 聖人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 礫分 / 安息角 / 平面ひずみ / 支持力 / 個別要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
二種混合体として、砂礫混合土のように、礫分(大粒子)と砂分(小粒子)で構成される土がある。二種混合体は、大粒子含有率によって、強度や破壊形態といった材料挙動が変化する。具体的には、小粒子が材料挙動の主体となる「小粒子骨格構造」、大粒子が材料挙動の主体となる「大粒子骨格構造」、それらの間に位置し、小粒子と大粒子の双方の特徴が材料挙動に現れ、大粒子含有率によって変化する「中間骨格構造」に分類される。また、小粒子骨格構造と中間骨格構造の境界となる大粒子含有率を「小粒子骨格構造の限界大粒子含有率」、中間骨格構造と大粒子骨格構造の境界となる大粒子含有率を「大粒子骨格構造の限界大粒子含有率」と定義される。 本研究の目的は、拘束圧作用下の二種混合体の限界大粒子含有率を、微視的モデルを用いて定量的に評価することである。そのために、安息角実験、平面ひずみ圧縮試験、支持力模型実験に加えて、個別要素法による実験のシミュレーションを実施する。 令和4年度では、「拘束圧を100kPaとした平面ひずみ圧縮試験」を行うとともに、以前に実施した「極低圧条件となる安息角実験」、「個別要素法による安息角実験の再現解析」、「遠心場での支持力模型実験」の結果を再整理した。さらに、微視的モデルの計算結果との比較検討を行った。 その結果、微視的モデルで算出したものと比べて、実験で取得した限界大粒子含有率は、概ね、小粒子骨格構造の限界大粒子含有率は大きく、大粒子骨格構造の限界大粒子含有率は小さくなった。現状の微視的モデルは、拘束圧が非常に低い状態を想定している。つまり、拘束圧が作用(増加)すると、小粒子骨格構造の限界大粒子含有率は大きくなり、大粒子骨格構造の限界大粒子含有率は小さくなることが分かった。そのため、拘束圧作用下の限界大粒子含有率を評価する微視的モデルには、この影響を考慮する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的には、以下の項目を実施した。 「極低圧条件となる安息角実験」では、形状や粗度といった粒子特性の異なる二種混合体に対して行った安息角実験の結果を再整理した。再整理した結果をもとに、限界大粒子含有率に与える粒子特性の影響を評価し、微視的モデルにおいて重要なパラメータである、最小主応力方向の限界大粒子距離の推定式を提案した。 「個別要素法による安息角実験の再現解析」では、大粒子の配置や粒子同士の接点力について、解析結果を精査し、微視的モデルにおける骨格構造モデルの妥当性と二種混合体内部の状態を示した。 「拘束圧を100kPaとした平面ひずみ圧縮試験」では、ピーク強度、残留強度、せん断帯傾斜角、せん断帯の幅を指標として、「遠心場での支持力模型実験」では、遠心力による拘束圧作用下の載荷応力を指標として、限界大粒子含有率を取得した。これらの指標を基にした限界大粒子含有率を、微視的モデルの計算結果と比較検討することで、限界大粒子含有率に与える拘束圧の影響を評価した。 また現在、破壊形態を観察できる支持力模型装置の作製に取り組んでおり、アクリルと鉄フレーム製の土槽はすでに完成し、載荷装置の作製を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、限界大粒子含有率に与える拘束圧の影響をさらに精査するため、同一の二種混合体試料に対して、様々な拘束圧の実験を実施し、微視的モデルとの比較検討を行っていく。同時に、二種混合体内部の状態を把握するために、シミュレーションを実施する。具体的には、以下の項目について検討を行う。 「安息角実験」では、平面ひずみ圧縮試験と同じ二種混合体試料に対して、円筒型と平面型の安息角実験装置による実験を行い、安息角を指標とした限界大粒子含有率を取得する。 「平面ひずみ圧縮試験」では、令和4年度と同じ二種混合体試料に対して、加える拘束圧を100kPaから変更した平面ひずみ圧縮試験を実施し、ピーク強度、残留強度、せん断帯傾斜角、せん断帯の幅を指標として、限界大粒子含有率を取得する。 「支持力模型実験」では、破壊形態を観察できる支持力模型装置を完成させたうえで、平面ひずみ圧縮試験と同じ二種混合体試料に対して、支持力実験を実施し、載荷応力、画像解析による破壊形態、加速度計による地表面の変形等のデータを指標として、限界大粒子含有率を取得する。 「個別要素法よるシミュレーション」では、周期境界を導入し、計算負荷を軽減させたうえで、より現実に即した粒径の小さいモデル粒子による安息角シミュレーションを実施し、粒子の配置や接点力を評価する。
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Research Products
(6 results)