2021 Fiscal Year Annual Research Report
匂い・味がブリの摂餌行動、食欲および摂餌量に及ぼす影響
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21J23499
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉水 彩花 愛媛大学, 愛媛大学大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ブリ / 嗅覚 / 味覚 / ニューロペプチドY / 摂餌行動解析 / 摂餌 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブリにおける匂い・味を介した摂餌の調節機構を解明することである。日本で最も養殖生産量の多いブリの摂餌には嗅覚と味覚が強く関連しているとされており、アミノ酸に対する嗅覚・味覚神経の電気生理学的応答が確認されている。しかしながら、嗅覚と味覚を介してブリの食欲および摂餌が引き起こされる仕組みについてはほとんど分かっていない。そこで、本研究では電気生理学的に決定された嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸に対する食欲関連ホルモン(ニューロペプタイドY;NPY)および神経伝達指標の一つであるc-Fos遺伝子発現量の応答、観察用水槽を用いた摂餌行動の解析を行う。さらに、これらのアミノ酸を嗜好性の低い無魚粉飼料へ添加し、摂餌改善効果を明らかにする。これにより、ブリにおける匂い・味を介した餌を摂取したい欲求(食欲)から摂餌行動を起こし、餌を摂取するという一連の仕組み(摂餌量の調節機構)を解明する。 味覚に関与するとされている4つの脳部位におけるNPYおよびc-Fos遺伝子の応答をそれぞれ確認した。これにより、ブリにおいてアミノ酸による味覚刺激に最も強く応答する脳部位は小脳体であることが分かった。 電気生理学的に決定された嗅覚刺激の強いアミノ酸4種(L-アラニン、L-グルタミン、L-メチオニン、L-セリン)および嗅覚刺激の弱いアミノ酸4種(L-プロリン、L-アスパラギン酸、タウリン、L-トリプトファン)、計8種を用いて、それぞれに対するNPYおよびc-Fosの応答を明らかにした。また、これらアミノ酸に対する摂餌行動解析を行い、電気生理学的な嗅覚刺激の強さと摂餌行動との関連を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにブリの摂餌刺激物質を構成する物質であるイノシン酸に対するc-Fos応答および摂餌行動解析を終えた。また、ブリの味覚中枢および神経経路を同定した。食欲関連ホルモンとして、NPYの他にアグーチ関連ペプチド(AgRP1およびAgRP2)、メラニン凝集ホルモン(MCH1およびMCH2)、コカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART1b、CART2a、CART2b、CART3a、CART3b)の測定系を確立した。 本年度は嗅覚刺激の強いアミノ酸および弱いアミノ酸に対するNPY・c-Fos応答を明らかにした。また摂餌行動解析試験を行い、画像データの収集を終えた。現在はこれらデータの解析および次年度に行う味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸に対するNPY・c-Fos応答試験の準備を進めている。 これらは申請時点での研究計画に則り行っており計画に遅れはないため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も申請時の研究計画に則り研究を進める。これまでに嗅覚刺激に対するブリのNPY応答試験および摂餌行動試験を完了した。次年度に向けて、嗅覚刺激に対する摂餌行動試験の結果の解析を進める。また、味覚刺激に対するブリのNPY応答試験および摂餌行動解析試験を実施する。本試験は次年度中に解析までを終え、最終年度に行う摂餌試験の準備を行う。摂餌試験では嗜好性の低い無魚粉飼料に嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸をそれぞれ添加することで、摂餌性の改善効果を明らかにする。次年度はこの試験に使用する無魚粉飼料の試料組成を決定する。
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Research Products
(2 results)