2023 Fiscal Year Annual Research Report
匂い・味がブリの摂餌行動、食欲および摂餌量に及ぼす影響
Project/Area Number |
22KJ2363
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉水 彩花 愛媛大学, 愛媛大学大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ブリ / 嗅覚 / 味覚 / ニューロペプチドY / 摂餌行動 / 摂餌量 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブリにおける匂い・味を介した摂餌の調節機構を解明することである。日本で最も養殖生産量の多いブリの摂餌には嗅覚と味覚が強く関連するとされており、アミノ酸に対する嗅覚・味覚神経の電気生理学的応答が確認されている。しかしながら、嗅覚と味覚を介したブリの摂餌調節の仕組みについてはほとんど分かっていない。そこで、本研究では電気生理学的に決定された嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸を用いて、それらの刺激がブリの食欲亢進ホルモン(ニューロペプチドY:NPY)遺伝子発現量、摂餌行動および摂餌量に及ぼす影響を明らかにする。これにより、ブリにおける匂い・味を介した餌を摂取したい欲求(食欲)から摂餌行動を起こし、餌を摂取するという一連の仕組みを解明する。 本年度は嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸の合計12種類をそれぞれ摂餌性の低い無魚粉飼料に添加し、摂餌刺激効果を確認した。さらに、飼育水中にこれらアミノ酸を添加した後に市販飼料の摂餌量を計測することで、アミノ酸による純粋な嗅覚・味覚刺激がブリの摂餌量に及ぼす影響も確認した。これにより、ブリはアミノ酸による強い嗅覚刺激を受けるとその後の摂餌量が減少することが明らかとなった。この結果は、一昨年度に実施した嗅覚刺激後にNPY遺伝子発現量が減少した結果と矛盾せず、このNPY応答を支持する結果であった。しかしながら、これらアミノ酸を無魚粉飼料に添加した際の摂餌量に変化がなかったことから、アミノ酸が摂餌に及ぼす効果は添加方法によって異なることが明らかとなった。アミノ酸による強い嗅覚刺激はブリの摂餌行動を引き起こすものの、その後の脳NPY発現量の減少に伴い摂餌量も減少させることが示唆された。また、これらの研究結果を2023年9月にオーストリア・ウィーンにて開催された国際学会Aquaculture Europe 2023で発表した。
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Research Products
(5 results)