2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of pyrene-based solvatochromic fluorescent dyes for dynamics study on the lipid membranes of extracellular vesicles
Project/Area Number |
22KJ2367
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
関 仁望 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 蛍光ソルバトクロミック色素 / 蛍光色素 / 細胞外小胞 / エクソソーム / 脂質膜 / 脂質ラフト / 蛍光イメージング / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、EVsの脂質膜を標的とした新規蛍光ソルバトクロミック色素を開発し、EVsを囲む脂質膜の組成(脂質膜を構成している脂質の種類やコレステロールの分布)、物理的性質(極性や粘性等)や動態を明らかにすることで、EVsの諸機能における脂質膜の役割の解明を目指す。本年度は、昨年度開発に成功した蛍光ソルバトクロミック色素PKA1を使って細胞外小胞の脂質膜の相状態の違いを明らかにするために、PKA1の脂質膜中における物性評価を行った。まず、PKA1がLo相やLd相に対する選択性を持っていないかを調べるため、DOPC/Chol(Ld相)とSM/Chol(Lo相)のリポソーム(人工脂質膜)溶液を作製し、混合溶液中における色素のスペクトル形状を確認した。その結果、一方の位相に特異的に吸着することなく、Lo相とLd相のどちらにも分配してくれることが分かり、脂質膜の相状態の違いを調べる上で問題ないことを確認した。続いて、PKA1が脂質二重膜の外側(outer leaflet)にのみ吸着するのか、内側(inner leaflet)まで入るのかを調べるため、脂質膜の外側の蛍光のみをクエンチするクエンチャーを使って確認したところ、以前開発した脂質膜への局在性が低い蛍光ソルバトクロミック色素PKがinner leafletまで入ったのに対し、PKA1はouter leafletのみに吸着することが分かった。この結果から、この二つの色素を使い分けることで、脂質膜の相状態を外側と内側と区別して調べられることが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、①EVs脂質膜染色用蛍光ソルバトクロミック色素を開発して、②EVs脂質膜組成・物性評価と細胞取り込みにおける役割を解明し、さらには、③EVs脂質膜の血液中における動態と細胞取り込みにおける役割を解明することを目指している。この①~③のうち、本年度は②を達成するべく開発した蛍光色素の人工脂質膜中における機能評価を行ったものの、EVsの脂質膜の組成や物性評価を実施するに至らなかったため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度挙げた研究の推進方策と同様に、以下の計画を実施していく予定である。 【計画①】がん細胞や正常細胞から抽出されたEVsを染色し、その蛍光スペクトル・蛍光寿命を測定・解析する。細胞種の違いがEVs脂質膜の組成と物理的性質にどのような違いをもたらすのかを明らかにする。 【計画②】各種EVsをドナー細胞、もしくは他の細胞と共存させ、細胞取り込み効率を評価すると共に、その様子を超解像イメージングで撮影する。これにより、EVs脂質膜組成・物理的性質の細胞取り込みにおける役割を解明する。 【計画③】計画②において、様々な刺激(コレステロールの添加/除去、酸化剤の添加など)を与えたEVsを活用し、同様の実験を行う。これにより、EVsの脂質膜組成・物理的性質を制御することで、EVsの細胞取り込み効率を増減できるか検討する。 また、開発した色素PKA1が細胞膜を染色できることから、細胞膜の相状態をフローサイトメトリーで定量的に評価できないかを検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗がやや遅れたため、物品費が予定よりかからなかった。次年度に正常細胞を使った実験を実施予定であり、その培養に必要な試薬の購入に使用する計画である。
|