2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロニードルゲル基材を用いた肝臓表面における肝組織構築
Project/Area Number |
22KJ2369
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白木川 奈菜 九州大学, 工学研究院, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 肝臓 / 再生医療 / 組織工学 / マイクロニードル |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓のドナー不足は世界的な問題となっている。体内での肝組織構築は、その解決が期待されるものの、豊富な血流を有する部位への移植と長期的な生体内培養が必須である。しかしiPS細胞等の腫瘍形成リスクを考慮すると、除去が容易な移植システムの確立が望まれる。本研究では肝臓表面に対して着脱可能な独自の移植システムを開発し、生体内において肝機能補助可能なレベルの肝組織を安全かつ低侵襲的に構築することを目的とする。マイクロニードルを有する生体適合性ゲルに肝細胞を包埋して肝臓表面に穿刺し、肝臓から肝再生を促す液性因子を拡散供給して肝組織化すると共に、除去可能であることを明らかにして安全かつ有効な肝再生医療を確立する。 2023年度は本研究で得た成果を国際学術雑誌に論文として投稿するために、今まで得たデータの再現性の取得を行った。また、本システムの有効性を培養系で明らかにすることを目指し、肝表を模したゲル上で、ニードル基材を用いた肝細胞培養を試みた。さらに、体内における肝組織構築と治療効果の評価を目指し、肝不全モデルマウスの作製と開発した本システムを用いた肝細胞の移植を行った。 シトクロムc、BSA、LDHを用いて、外部から基材内部へタンパクや増殖因子が拡散されうる一方で、補体は妨げられうることが示唆された。肝臓表面のモデルとして培地を吸わせたアガロースゲルにスポンジニードル基材を穿刺し、ラット初代肝細胞を播種して培養してアルブミンを測定することで、本システムによりニードル基材が液性因子を吸い上げ、基材に播種した肝細胞の生存が維持できることが示された。さらに、チオアセトアミドを用いた肝不全モデルマウスの作出を目指し、投与翌日に血液成分のASTとALTが上昇し、急性肝不全の誘導が示唆された。一方、本システムを用いてラット初代肝細胞を移植し、移植体において肝特異的な遺伝子発現が認められた。
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