2023 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム観察技術の開発による二次元物質CVD成長のデザイン
Project/Area Number |
22KJ2375
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平良 隆信 九州大学, グローバルイノベーションセンター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェン / 化学気相成長(CVD) / 熱放射光学顕微法 / 粒界 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、前年度に引き続きCu(111)基板上でのグラフェン化学気相成長(CVD)におけるグラフェン粒界の形成要因を解明することを目的とし、熱放射光学顕微法(Rad-OM法)によるグラフェンCVD成長過程のリアルタイム観察と、CVD成長後の基板の大気中加熱によるグラフェン粒界の観察を組み合わせた解析を行った。 Cu(111)基板上でのグラフェンCVD成長において、方位の揃ったグラフェンのグレイン同士が接合すると、粒界の無い単結晶のグラフェンが得られることが報告されている。しかし、CVD成長にはグレインの核発生時期、成長速度、形状など多様な要因があり、方位以外の要因が粒界形成に与える影響は未解明である。そこで本研究では次の2つの手法により粒界の形成要因を調べた。 まず、初年度に移設し前年度にCu(111)基板の観察に対応するための改造を行った、Rad-OM法の装置を用いてCu(111)基板上でのグラフェンCVD成長条件を最適化し、接合時の様子が観察可能なグレインの大きさと核密度になるようにした。Rad-OM法では、グラフェンとCuが成長温度(約1000℃)で発する熱放射光を光学顕微鏡で観察することにより、グラフェンCVD成長をリアルタイムに可視化できる。この手法により得られた動画を解析し、接合したグレインの大きさ、核発生点間の距離、核発生時期、接合角度、接合時期、成長速度などを求めた。 次に、グラフェンCVD成長後のCu基板を大気中でホットプレートによって加熱した。これによりグレインの粒界で酸化銅が生成し、粒界を光学顕微鏡で観察できる。得られた光学像からグラフェン粒界の形成の有無を判断した。 Rad-OM法の動画解析から得られた情報と、基板加熱後の光学像から判断した粒界の有無との相関を評価した結果、接合時のグレインの大きさと粒界の生じやすさに相関が見られた。今後これらの成果を取りまとめ、学会および論文にて発表する予定である。
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