2021 Fiscal Year Annual Research Report
トルコ共和国におけるネイション形成の研究:女性と民族的・宗教的差異の観点から
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21J21447
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 舜 九州大学, 人文科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | トルコ共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、まず5月にオンラインの形式で行われた日本中東学会第37回年次大会にて報告を行なった。本報告はオスマン帝国時代の女性定期刊行物における民族に関する言説を検討することを試みたものだった。検討対象とした雑誌の論説は、一般的に都市部の女性を扱うことが多い女性的刊行物の中では、例外的に地方の諸民族の女性を横断的に取り扱っているという点であまり見られないタイプのものであり、これを分析することでトルコ共和国の前身たるオスマン帝国における民族観と女性観の関係性を提示した。 中東学会終了後は、コロナ流行下において可能な限り、史資料の収集を行うことに注力した。具体的にはイスタンブル県ベヤズィット図書館とアタテュルク図書館、またトルコ国内の財団が運営している図書館などで調査を行なった。また極めて短期間であったが、アンカラ県への調査も試みた。調査においては、トルコの国民観・市民観など地方において展開された言説の分析を目的として、主にトルコ共和国初期において発行された地方新聞を集め、可能な限り、撮影という形式でそれらを取得した。対象とした年代は、1930年代から50年代にかけて、対象とした地域は東部であり、一部欠号・欠損などはあったものの、当時において出来うる限り収集した。ただし依然として十全に調査ができるという状態ではなかったため、次年度まとまった期間をとって、網羅的に収集する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は上述の通り、オンラインという形式で学会報告において一定の取りまとめを報告した。その後の研究活動という面においては、コロナ流行下における文書館・図書館の時間短縮による開館等の影響を受けたものの、ある程度は史料収集ができた。十全といえる状況ではないが、おおむね順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、十分に入手することのできなかった地方新聞を入手する予定である。とくにアンカラ県にある国民図書館においての長期の調査を予定している。現在、東部の特定の地方において発行された地方紙それ自体を網羅的かつ詳細に検討した研究はない。しかしトルコの国民観の変遷を調べるためには必須の作業であり、次年度はこの分析と検討を進める必要がある。
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Research Products
(1 results)