2022 Fiscal Year Annual Research Report
酸性腫瘍微小環境に応答し自家抗体をがん治療に起用するペプチド性中分子の開発
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21J21720
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田川 寛 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / 抗体医薬 / 抗体リクルート分子 / 酸性腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究計画は動物実験での作製した分子の腫瘍への集積および作製した分子を介した抗体の腫瘍への集積の評価であったが未達成である。この理由として、当初の計画とは異なり作製した分子による細胞傷害の誘導に未だ達成できていないためである。そこで細胞傷害が誘導されない理由として二つの仮説を立てた。1つ目の仮説として、作製した分子と抗体間の結合力が細胞傷害の誘導に十分ではない可能性があった、この仮定を実証すべくより抗体に対して結合力の高い新規の分子の作製を行ない、この作製した分子を用いてこれまで作製してきた分子と同様にがん細胞に抗体を集積することを実証した。 2つ目の仮説として、酸性条件下では一般的に免疫細胞の活性が低下することが知られており、この実験系では酸性条件下での実験であるため免疫細胞が十分な細胞傷害能を発揮しなかったことが考えられた。そこで、共同研究によって細胞傷害活性のより高い免疫細胞の作製および遺伝子改変による酸性環境に耐性の高い免疫細胞の樹立を行っている。 ほかの実験進捗として、担がんマウスモデルを用いた動物実験において、蛍光標識を行った酸性環境応答分子の腫瘍への集積が確認された。これまでに細胞実験において酸性環境での作製した分子を介した抗体のがん細胞への集積が確認されているため、引き続き細胞実験での細胞傷害誘導と並行して、動物実験での作製した分子を介した抗体の腫瘍への集積の評価および作製した分子を用いた腫瘍の成長抑制効果を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の当初の計画として、in vivoでの分子集積、抗体集積能の評価であった。しかし、in vitroでのADCC誘導がいまだに達成できていない。現在、遺伝子改変による酸性環境に高い免疫細胞の樹立を共同研究先とおこなっている。 今年度はin vitroの実験と並行してin vivoでの実験を行うことで当初の予定の通り、本年度中の論文での報告を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、当初の予定に比べ進捗状況が芳しくない。そこでin vitroの実験と並行してin vivoの実験を行う予定を立てた。in vitroにおいては現在共同研究により、酸性へ耐性が高い免疫細胞の樹立をおこなっており、本免疫細胞を用いてADCCの誘導を目指す。in vivoにおいてはこれまでに腫瘍に対して作製分子が集積することが確認されているため、引き続きin vivoでの腫瘍縮退効果まで評価を行う予定である。
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