2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本語諸方言における心情述語文の格標示に関する基礎的研究:述語の品詞に着目して
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22J11135
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 葵 九州大学, 人文科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 日琉諸語 / 格標示 / 心情述語文 / 階層性 / 通方言的比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本語諸方言における心情述語文(例:「私は雷が怖い」)の格フレームのバリエーションを類型化し,述語の品詞に着目して説明をおこなうことを目標とする。従来の研究では,格フレームの記述は動詞文を中心におこなわれている。一方で,非動詞述語文の格フレームは注目されておらず,述語の品詞が格フレームに与える影響も不明である。本研究が対象とする心情述語文は,諸方言において,述語が動詞(「恐れる」)と形容詞(「怖い」)にまたがって生じるため,述語の品詞が格フレームに与える影響を明らかにする重要な言語データとなりうる。本研究は,述語の品詞が格標示に与える影響を,諸方言における心情述語文を具体例として明らかにする。
本年度は,主に,研究を進める上で必要となる方言データの収集と,現時点までの成果報告に注力した。 方言データの収集に関しては,岐阜県恵那市方言,広島県江田島方言,福岡県柳川市方言,沖縄語(石川方言,読谷村楚辺方言,佐敷仲伊保方言)の調査に取り組んでいる。(岐阜県恵那市方言,広島県江田島方言については,宮岡大氏(九州大学)がデータの収集をおこなっている)。 成果報告については,これらのデータを分析し,TUFSグローバル・スタディーズ学会 2022年度(第三回)大会にて成果を公表し,有益なフィードバックを得た。 このほか,心情述語文調査時に収集した福岡県柳川市方言の自然談話を分析し,論文の形で公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度前半はcovid-19の影響によりフィールド調査が困難であったが,年度後半にフィールド調査を開始した。この結果,本研究課題の遂行に必要なデータをおおむね順調に収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,フィールド調査を続け各方言のデータを収集するとともに,分析をおこなう。本研究課題の成果物は,申請者の博士論文の一部として発表する予定である。
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Research Products
(7 results)