2023 Fiscal Year Annual Research Report
界面アーキテクトニクスによる多糖ナノファイバー単層膜の構築と新奇足場機能の創出
Project/Area Number |
22KJ2455
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 紘一朗 京都大学, 化学研究所, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / Langmuir-Blodgett膜 / 表面自由エネルギー / エマルション / 界面 / 配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、木質由来ナノ繊維(セルロースナノファイバー:CNF)の持つ優れた材料特性が注目を集めており、多岐にわたる研究が展開されている。複合材料の補強材や固体界面活性剤はその一例であり、非常に大きな比表面積を有するCNFにおいては、CNF界面にはたらく相互作用の定量が材料設計のカギとなる。 本課題研究では、濡れ性測定に基づく相互作用評価のための表面モデルとして、CNFが単層レベルで整然と並んだ薄膜の調製を試みた。CNFに単分子膜の製膜法であるLangmuir-Blodgett(LB)法を適用したところ、繊維同士の絡まりが解消され、単層レベルでCNFが緻密に配向した単層膜が得られることを明らかにした。また、膜を構成する繊維は、高度に配向しつつ屈曲した指紋の様なパターンを形成していた。この配向構造と物性の相関の一例として、水平力顕微鏡による検討を行ったところ、繊維の配向方向に依存して異方的な摩擦特性が発揮されることが明らかになった。すなわち、LB膜はCNF表面のモデル材料としてだけでなく、材料表面に異方性を付与するコーティング法としての展開も期待される。 続いて、濡れ測定に基づくCNFの表面自由エネルギーの評価を実施した。前述のLB膜の他に3種類の製膜法を適用し、見かけの接触角における製膜法及び膜厚の影響を検討した。結果として、液体拡散が抑えられた薄膜であれば、濡れの経時変化及び表面粗さの補正と組み合わせることによって表面自由エネルギーの評価が可能であった。また、その値の妥当性を実際の界面接着性と比較することによって検証したところ、液液界面に対するCNFの吸着性を高い精度で評価可能であることが示された。本課題において得られた製膜法や界面相互作用に関する知見は、CNFに限らず多様な材料、またそれらの複合化に適用されることが期待される。
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