2022 Fiscal Year Annual Research Report
線形ガウス状態空間モデルを使った諸予測と、高次元での実用化に向けた高速化
Project/Area Number |
22J20435
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 航 九州大学, マス・フォア・イノベーション連係学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
Keywords | 時系列解析 / 多変量解析 / クロスバリデーション |
Outline of Annual Research Achievements |
多変量線形ガウス状態空間モデルについて研究している。本研究では、真のパラメータを用いずにカルマンフィルタを実行した場合でも、いくつかの条件を満たせば、予測誤差の共分散行列が収束することを証明した。このことを応用すると、データの次元が大きい場合でも、データ間の相関を利用した予測を、高速に実行することができる。本手法は、バス、食堂の混雑度予測へと応用を行なっている。 同じく、状態空間モデルの一種である、動的回帰モデルの研究も行なっている。本モデルでは、線形回帰における回帰係数の、時間的変動を考慮することができる。その反面、モデル選択が計算上困難である。そこで、2つのパラメータに対してスパース推定を行うことで、回帰係数を (i) 時変 (ii) 非0で一定 (iii) 0で一定の3パターンのうち、どれに属するか効率よく選択する方法を考えている。 Parametric bootstrap smoothingについても研究を行なっている。この研究では、リサンプリングする際に使用する分布の分散が、真の分散であることが予測精度の面で最適であるとは限らないことを、数値実験によって示し、クロスバリデーションによって、予測の意味で良いリサンプリング分布を選択する方法を考えている。 また、ridge推定により回帰分析をする際のparametric bootstrap smoothingにおける特徴について、研究を試みている。現在のところ、特殊な条件下では、分散を発散させると、得られる推定量が真の回帰係数を自由度で割った値に近づくことが分かっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多変量線形ガウス状態空間モデルの研究について、EcoSta2022で発表を行った。また、論文も完成させ、現在ジャーナルに投稿を行なっている。 動的回帰モデルの研究では、実際にスパース推定のアルゴリズムを構築した。現在、電力需要予測や、地震に関するデータの周波数分析への応用を行なっている段階である。 Parametric bootstrap smoothingについての研究では、クロスバリデーションを用いた手法に関する論文を現在執筆中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
動的回帰モデルのスパース推定法や、実験結果についての考察をまとめ、論文を執筆する。また、動的因子モデルに関しても、スパース推定法の開発を試みる。本モデルは、地域別のコロナ感染者の推移データへの応用などを考えている。 Parametric bootstrap smoothingの、クロスバリデーションを用いた手法に関する論文は、文章を推敲し、ジャーナルに投稿する。また、ridge推定におけるparametric bootstrap smoothingの特徴について、実際の分析に応用できないか、シミュレーションを用いて検討する。
|
Research Products
(1 results)