2023 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム破綻から見るゲノム安定型胃癌の発癌機構と腫瘍内不均一性獲得原理の解明
Project/Area Number |
22KJ2474
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井野 雄貴 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に引き続き、令和5年度も長期保存FFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)アーカイブサンプルを対象としたロングリードエピゲノム解析のための基盤技術の開発に取り組んだ。 これは、従来よりも穏和な条件によるFFPE組織からのDNA抽出とバイサルファイト化(BS化)DNAに対する一本鎖DNAライゲーション技術、BS化DNAを鋳型とした二本鎖DNA合成、さらにトポイソメラーゼの二本鎖再結合活性を介した次世代シーケンサーライブラリ調製プロトコルを基礎としている。本年度はこの技術を長期間(10年以上)保存されているFFPEサンプルに適用し、長期保存されたFFPE組織からのロングリードエピゲノム解析を試みた。新鮮なBS化DNA由来の二本鎖DNAライブラリおよびネガティブコントロールとPCR反応性を比較すると、新鮮なBS化ライブラリと同等なcycle数でライブラリの増幅を認めた。しかしながら、アンプリコン長は新鮮なBS化DNA由来ライブラリより約500塩基長ほど短く、ロングリードの解析にはさらなる改善が求められる。 令和5年度はこれに加えて、上記技術をレーザーマイクロダイセクション後の微量サンプルに適用するためのFFPEに含まれる核酸の品質の改善に関する実験を行った。FFPE組織の染色およびパラフィン浸透やエタノール浸漬などの標本作製過程における核酸の分解を抑制する条件検討を実施した。 上記の技術開発が結実すると、交付申請時の研究の目的であった、膨大なFFPEアーカイブから悪性腫瘍の発症と進行に関わるメチローム変異を同定する新たな効率的な手法の構築が達成される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長期保存されたFFPE組織を対象としたエピゲノム解析において長鎖解析と十分な感度との両立が実現できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
メチロームの取得が難しい場合、これまで習得してきた生化学的手法と病理学的手法を組み合わせ、長期保存されたFFPEアーカイブを活かすための異なる手法の探索を試みる。
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Causes of Carryover |
傷病の療養のために令和5年度後期は大学を休学し、それに伴い特別研究員としての採用が中断され、研究が進行しなかった。 長鎖DNA解析のデバイス(ナノポアシーケンサーのフローセル等)を購入するために使用する予定である。
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