2022 Fiscal Year Annual Research Report
革新的AIによるヒト-ウイルスタンパク質間相互作用阻害剤の予測
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22J22706
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
築山 翔 九州工業大学, 大学院情報工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習 / タンパク質間相互作用 / ウイルス / Attention / SARS-CoV-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスは宿主のタンパク質と相互作用することで、宿主細胞の機能を乗っ取り、増殖する。そのため、ヒトーウイルスタンパク質間相互作用を予測することは抗ウイルス薬の開発やウイルスの感染メカニズムの解明において重要である。SARS-CoV-2の感染状況からも分かるように、ウイルスは出現から急速に感染が拡大する可能性がある。そのため、未知のウイルス種や変異株に対して、高い精度でヒトーウイルスタンパク質間相互作用の予測を行うことのできる高い汎化性能を持つモデルの開発が必要である。タンパク質の相互作用を分子動力学で予測する研究の一方で、アミノ酸配列のみから深層学習や機械学習などのAI技術を用いた研究開発が大いに期待される。本研究ではCross-attention PHVと呼ばれるアミノ酸配列のみからヒトーウイルスタンパク質間相互作用予測のための深層学習に基づく新規AIモデルの開発を行った。Cross-attention PHVは、未知ウイルスに対する有用性を評価するためのベンチマークデータセットの全てにおいて90%以上の精度を示した。このCross-attention PHVの予測性能は、先行研究における予測モデルを凌駕する予測性能であり、既知ウイルスに加えて、急速に拡大する未知のウイルス感染症において有効であると考えられる。さらに、我々は同分野の研究を促進するために、ヒトーウイルスタンパク質間相互作用予測用公開ウェブサーバーとコマンドラインインターフェースの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、主にヒトーウイルスタンパク質間相互作用予測器の開発に従事した。以前、我々が開発していたLSTMをベースとしたモデルは、汎化性能が低く、訓練データに含まれていないウイルス種に対しては高い予測精度は得られていなかった。そこで、Cross-attention機構と1次元畳み込みニューラルネットワーク(1D-CNN)の2つのアーキテクチャーをベースとしたモデルを実装し、Cross-attention PHVと呼ばれる新規ヒトーウイルスタンパク質間相互作用予測器を開発した。我々は、Cross-attention PHVの未知ウイルスに対する有用性を評価するために、先行研究において構築された3つのベンチマークデータセットを用いた。その結果、全てのデータセットにおいて、Cross-attention PHVは既存のモデルに比べて高い予測性能を示した。さらに、我々は同分野の研究を促進するために、予測用公開ウェブサーバーとコマンドラインインターフェースの開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、ヒトーウイルスタンパク質間相互作用予測時にCross-attention PHV内で生成された特徴マップを用いて、薬物―標的タンパク質間相互作用の予測に取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)