2022 Fiscal Year Annual Research Report
High-throughput centrifugation screening of mesenchymal stem cells
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22J01509
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大竹 真央 東京都立大学, システムデザイン研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | セルソーティング / メカノバイオロジー / 細胞接着力測定 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は、腫瘍化や拒絶反応のリスクが小さいことから、再生医療への応用が期待されている。一方、間葉系幹細胞は増殖培養においても一部細胞が骨芽細胞等へ分化してしまう。この分化偏向によって幹細胞性の低下や組織の骨化を引き起こす可能性がある。したがって、培養した幹細胞から未分化の間葉系幹細胞を選択的に分取する必要がある。しかし、従来の細胞分取技術は細胞表面に蛍光色素や磁気粒子を固定する必要があり、これらの修飾や除去工程での反応時間・反応試薬による細胞へのダメージが問題となる。そこで、私は細胞-接着基質との付着力をマーカーとした細胞分取技術の開発に取り組んでいる。 本年度は、細胞接着力測定システムの構築及び、遠心力による細胞分取技術の原理実証について取り組んだ。 細胞接着力測定システムの構築では、シングルボードコンピュータであるRaspberry Piやリチウムイオンバッテリーを搭載したコントローラユニットと加速度センサーやCMOSカメラ、顕微鏡対物レンズを搭載したセンサーユニットで構成される遠心観察装置を開発した。これを市販の卓上遠心機に取り付けることで、遠心中の細胞挙動をリアルタイムで観察することが可能となった。 分取原理の実証では、正常細胞モデルとしてマウス由来線維芽細胞である3T3 Swiss albinoとがん細胞モデルとしてヒト肉腫由来細胞であるHT1080を使用し、ガラス基板表面との接着性を評価した。その結果、細胞非接着性タンパク質であるウシ血清アルブミンを事前にコーティングしたガラス基板において、3T3 Swiss albinoとHT1080の基板接着性に差が見られ、遠心分取技術の原理実証に成功した。 来年度以降は、株化間葉系幹細胞を使用し、骨芽細胞への分化成熟度に応じた遠心分取の実証に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
取り組み目標のひとつであった「遠心力による細胞分取系の構築」を達成し、正常細胞モデルとがん細胞モデルを用いた実証実験において、本手法の有用性を示すことができたため、順調に進展していると考えられる。来年度以降は間葉系幹細胞を骨芽細胞分化誘導培地内で培養し、提案手法による未分化間葉系幹細胞の選択的分取に進めることができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は株化間葉系幹細胞を用いた未分化間葉系幹細胞の分取を目指す。骨芽細胞分化誘導培地を用いた培養を行い、半数程度が骨芽細胞へと分化した段階で提案手法による遠心分取を実行し、分取前後の骨芽細胞と未分化間葉系幹細胞の存在比を分化マーカーを用いて評価する。また、細胞-接着基質間のナノ界面設計によってより効率的な分取が達成される界面形体について探索を行う。
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