2023 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞のハイスループット遠心分化スクリーニング
Project/Area Number |
22KJ2549
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大竹 真央 東京都立大学, システムデザイン研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | セルソーティング / メカノバイオロジー / 細胞接着力測定 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は拒絶反応や腫瘍化リスクが小さいことから、再生医療への応用が期待されている幹細胞である。一方、増殖培養の途中で骨芽細胞へと分化してしまい、幹細胞性が低下してしまうという課題がある。したがって、培養した間葉系幹細胞の細胞群から未分化の間葉系幹細胞を選択的に分取する必要がある。しかし、従来の細胞分取技術は細胞表面に蛍光色素や磁性粒子を標識する必要があり、細胞への侵襲ダメージが課題となる。そこで、申請者は細胞-接着基質間の接着力をマーカーとした非修飾に細胞分取する新規技術の開発に取り組んでいる。 本年度は、株化間葉系幹細胞の遠心分取達成に向けた検討として、遠心脱離の有無を決定する接着パラメータ探索及び生細胞側方観察技術の開発に取り組んだ。 昨年度、実施したがん細胞モデルと非がん細胞モデルの識別結果から、細胞の種類によらず遠心脱離の有無を決定する条件を探索するため、パキシリンの蛍光染色による接着斑解析を行った。その結果、平均接着斑サイズが細胞脱離の有無を決定する接着パラメータであることが示唆された。 より高精度に細胞を識別するための指標として、細胞と接着基質の接触時間を最適化することで細胞種毎の接着力の差を大きくすることができると考えた。そのため、細胞播種直後から基質表面に伸展し、定常状態になるまでの細胞挙動を観察する生細胞側方観察技術を開発した。その結果、がん細胞モデルは非がん細胞モデルと比べて定常状態に推移するまでの時間が長く、この時間差を利用することでより高精度な遠心細胞分取が達成できることが示唆された。 来年度以降は、これらの知見を活かした遠心条件の最適化を行い、株化間葉系幹細胞の分化成熟度スクリーニングの達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は取り組み目標のひとつであった細胞付着力と細胞種相関の解明について重点的に取り組んだ。その結果、遠心細胞分取における細胞脱離の有無を決定する接着パラメータを発見した。これにより、細胞種毎のパラメータスタディを行うことなく、遠心時の細胞脱離を推測することが可能となった。以上より、本課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は株化間葉系幹細胞の分化成熟度スクリーニングに向けた検討を行う。今年度得られた知見を基に株化間葉系幹細胞の遠心条件を決定する。間葉系幹細胞を骨芽細胞分化誘導培地によって培養し、培養日数と細胞脱離率の関係を評価する。このとき、分取前後の未分化間葉系幹細胞と骨芽細胞の存在比を分化マーカーを用いて評価することで、未分化間葉系幹細胞が選択的に分取されていることを確かめる。
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Causes of Carryover |
当初計画していた顕微鏡システムよりも安価に顕微鏡システムを構築することができたため、次年度使用額が生じた。 研究機関の異動に伴う実験環境の構築に使用する計画である。
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