2023 Fiscal Year Research-status Report
歯周病が加齢性記憶障害に与える影響とメラトニン代謝産物に着目した予防基盤の構築
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22KJ2575
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
渡辺 数基 公立小松大学, 臨床工学科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病 / 認知症 / メラトニン / AMK / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症患者では松果体ホルモンであるメラトニンの分泌量が低いことが知られている。我々はメラトニンの代謝産物の投与により老齢マウスの低下した記憶形成能が回復することを報告してきた。認知機能とメラトニン代謝産物に深い関係があると言えるが、その減少をきたす因子に関しては報告が乏しい。歯周病患者の唾液中のメラトニンが減少しているという報告があり、歯周病がメラトニン及び代謝産物の産生を阻害している可能性が推察された。2年目である本年度はAMKの生体内での動態を調査し、また海馬におけるAMK量が低下した、加齢性記憶障害が引き起こされた老齢マウスを用いて引き続き実験を行った。松果体・血漿・海馬におけるメラトニンとAMKの量を測定したところ、メラトニンは松果体及び血漿において高値を示したのに対し、AMKは全く検出されなかった。一方で、海馬においてはメラトニンよりもAMKは高い値を示すことが分かった。このことから松果体で産生されたメラトニンが海馬に到達し、AMKへと代謝されている可能性が示唆された。またAMK合成遺伝子の発現を調査したところ、前頭前野など他の組織においてはIDO1,2も発現していたが、海馬においてはTDOが発現していた。そのためメラトニンは特にTDOを介して海馬においてAMKへ変換されている可能性が示唆された。また記憶形成能力が低下した老齢マウスの海馬ではcAMP response element binding protein(CREB)などの遺伝子発現が低下し、またRNA-seqを用いた解析ではlong-term potentiationなど、長期記憶形成に関する遺伝子群が低下していることが分かった。現在、この遺伝子群と、1年目の成果で得られた、歯周病現細菌Porphyromonas gingivalis (Pg)により影響を受けた遺伝子群との関連を調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目では研究協力者が保有していた機器に不具合があり一部解析が滞っていたが、その後無事復旧し解析を進めることができた。またマウスを用いた実験も滞りなく進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った解析を継続して行う。特にRNA-seqにより得られた発現変動遺伝子に着目し、その機能解析を行っていく。またAMKが記憶形成関連タンパク質に与える影響に関しても調査を行う予定である。加えて、研究成果の論文化を目指していく。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】当初は老齢マウスを用いて2DG(2-デオキシグルコース)を用いた脳組織への糖取り込みの測定、及び細菌叢解析をする予定であったが、本年度は主にメラトニン代謝産物の動態解析や遺伝子発現解析に関する実験に時間を割いた。そのため 3年目に2DGを用いた実験を遂行する予定で、分析に必要な物品や試薬、細菌叢解析に使用する金額を最終年度に持ち越すことにした。 【使用計画】「脳組織への糖取り込みの測定」に必要な物品や「細菌叢解析」にかかる外注費用として使用する予定である。
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[Presentation] Effects of staniocalcin, a blood calcium-regulating hormone, on osteoblasts and osteoclasts in goldfish scales.2023
Author(s)
Kuroda, K, Srivastav, A.K, Suzuki, A, Rafiuddin, M.A, Toyota, K, Endo, M, Honda, M, Watanabe, K, Maruyama, Y, Tabuchi, Y, Hattori, A, Urata, M, Matsubara, H, Suzuki, N
Organizer
International Symposium: Environmental Issues in a Post-Covid 19 Society
Int'l Joint Research
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[Presentation] 糖尿病モデルラットにおける実験的歯周炎の治癒期の網羅的遺伝子発現解析2023
Author(s)
中川佳太, 水谷幸嗣, 渡辺数基, 齋藤夏実, 竹村修, 坂庭愛理, 三上理沙子, 城戸大輔, 武田浩平, 小湊広美, 服部淳彦, 岩田隆紀
Organizer
第66回春季日本歯周病学会学術大会