2022 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸シグナルを標的とした難治性骨系統疾患に対する根本的治療法の開発
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22J22682
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
徳村 和也 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 異所性骨化 / アミノ酸トランスポーター / Slc7a5 |
Outline of Annual Research Achievements |
異所性骨化 (heterotopic ossification = HO) は筋肉や脂肪などの軟組織に病的な骨組織が形成される現象である。HOは早期治療が困難である点、根本的治療法が確立されていない点、および外科手術による異所性骨の除去は禁忌とされている点から、早期予測診断技術・根本的治療薬の開発は喫緊の課題である。我々はこれまでに、マウスHO組織の間葉系幹細胞(MSC)においてSlc7a5が高発現すること、およびMSC特異的にSlc7a5を欠損させたマウスではHOの発症・進展が抑制されることを明らかにした。しかし、それらの詳細なメカニズムは不明である。そこで、本研究では、HOモデルマウスや臨床検体を用いて、Slc7a5イメージングによるHOの発症・進展予測の確立、Slc7a5阻害による異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明を目的とする。本年度は、軟骨細胞細胞におけるSlc7a5の発現が異所性骨化の進展に関与しているのかを検討するため、軟骨細胞特異的Slc7a5欠損マウスをを用いてHOモデルを作製し、μCTイメージングにより異所性骨の組織量を定量した。また、MSCのSlc7a5阻害によりHOが抑制されるメカニズムを検討するため、MSC特異的Slc7a5欠損マウスを用いて、MSCの初代培養を行い、mTORC1シグナル関連分子の発現量を定量した。その結果、軟骨細胞特異的Slc7a5欠損マウスとコントロールマウスの間には異所性骨の形成に有意な差が見られなかった。MSC特異的Slc7a5欠損マウスのMSCではmTORC1シグナル関連分子の発現が低下していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果より、軟骨細胞のSlc7a5阻害によってはHOが抑制されないことが明らかとなった。さらに、MSCのSlc7a5阻害によってmTORC1シグナルが抑制されていることが示唆された。これらのことから、本研究の目標である「異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明」が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「異所性骨の縮小および骨化の抑制メカニズムの解明」をより進展させるために、MSC特異的Slc7a5欠損マウスを用いて、RNA-seqを行う。そして、MSCにおけるSlc7a5発現と、アミノ酸取り込みシグナル、幹細胞性維持関連シグナルとの相関をそれぞれ解析する。
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