2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2583
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 史尚 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 光触媒 / チオウレア / Giese型反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、触媒量のチオウレアによりベンズアルデヒドの光ピナコールカップリング反応が円滑に進行することを確認した。この結果は、チオウレアが基質のアルデヒドを酸として活性化しつつ、光励起されることで円滑な電子移動を触媒するという作業仮説を支持するものである。 本年度は、触媒効率の改善と太陽光利用のための励起波長の長波長化を目指し、チオウレアの構造最適化に注力した。その方針として、まずはチオウレアの酸性度の向上を中心に取り組んだ。酸性度の向上は、カルボニル基の効率的な活性化に寄与するのに加え、触媒の脱プロトン化を容易にすることから、プロトン移動と電子移動が速度論的に有利となるプロトン共役電子移動によるカルボニル基の還元が期待できるためである。最終的にベンゾチアゾールとチオフェンを導入することで、16族元素とヘテロ原子との間に起こるカルコゲン結合 (ACS Catal. 2021, 11, 568.) を利用して構造を規定し、共役を延長させることでチオウレアの酸性度の向上と吸収波長の長波長化が同時に達成され、反応の効率化を達成した。十分な活性を持つ触媒を導出したため、、Giese型反応にも適用し、αトリフルオロスチレン類をラジカルアクセプターとして利用することでトリフルオロメチル基と水酸基を同時に導入するGiese型反応へ展開することに成功した。水酸基とトリフルオロメチル基を同一炭素に導入できる反応を確立したことで、今後の不斉反応への展開が期待できる。
|