2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on the dynamics of the cross-scale linkages among eradication of female genital mutilation in Kenya
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22KJ2610
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 愛美 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 特別研究員(CPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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Keywords | 女性器切除 / FGM / 地域社会組織 / ジェンダー / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年5月に東京の以文社から刊行された共著書『負債と信用の人類学―人間経済の現在』に翻訳者として参画し、イギリスの人類学者キース・ハートによる『負債論』の批判的読解の日本語訳を発表した。 2023年8月からはケニアの首都ナイロビにあるアメリカ国際大学アフリカ校(United States International University-Afica)を受入研究機関として、CPDとしての主要渡航研究を開始した。牧畜民マサイの暮らすナロク・カウンティを毎月訪れ、フィールドワークを実施することができた。フィールドワークでは、マサイ地域における「女子割礼」・FGM/C廃絶運動の調査、男子の割礼式の参与観察、婚資の儀礼の参与観察を行なった。 首都ナイロビでは2023年10月に在ケニア日本大使館にて、ケニア(ナイロビ大学)とイギリス(オックスフォード大学)の法学者らとジェンダー平等に関する国際セミナーを開催し、マサイの地域で行われているFGM/Cとその廃絶運動に関する口頭発表を行なった。セミナーでは、法学者らとケニアの法律(成文法及び慣習法)におけるジェンダー不平等の問題や草の根レベルでのジェンダー平等に向けた取り組みに関して議論を深めることができた。2024年2月には、アメリカ国際大学人文社会科学学部長の依頼を受けて日本とアフリカの比較文化研究に関する講演会を実施した。ケニアの研究者や学生にとって日本は距離的・心理的に遠く、馴染みがない印象を抱かれていることを感じていたため、両文化に様々な共通点があることを紹介したところ、大きな反響を得た。 2024年2月には東京外国語大学で行われたハイブリッドの研究会にて11月に行ったマサイの婚資の授受に関するフィールドワークの報告をケニアから行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症及びケニア大統領選挙に伴う治安状況が落ち着き、ようやく国際競争力強化研究員としての主要渡航を開始することができた。アメリカ国際大学アフリカ校を受入研究機関とし、10月にはケニアの倫理審査委員会(Institutional Review Board: IRB)の承認及びケニア国家科学技術イノベーション委員会 (National Commission for Science, Technology and Innovation: NACOSTI)からの調査許可証を得て牧畜民マサイの暮らすナロク・カウンティで断続的なフィールドワークを実施することが叶った。調査の成果は直ちにケニアで報告するとともに、ケニアにいながらオンラインにて日本の研究会で報告することもできた。また、首都の大学ではケニアの研究者らと日常的に研究交流を行うとともに、国際ワークショップを実施し、公開講演会を提供するなど国際共同研究を進めることができた。ケニアを訪れる諸外国からのアフリカ研究者らと交流する機会も多く、アフリカ研究者として得難い学びを得た一年であった。また、日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターや在ケニア日本大使館広報文化室といったケニアに拠点を置く日本の研究、文化機関とも連携しながら研究や成果公開を進めることができたため。次年度はアフリカ在地の研究者らとの共同研究をさらに発展させるとともに、フィールドワークの成果を精力的に発表することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の調査から、マサイの地域社会組織が地元の伝統的チーフや教師、牧師など地域で指導的立場にある人びとに女性器切除(FGM/C)廃絶のための協力を要請していることがわかった。したがって、本研究計画ではCBOと地元住民との関係について明らかにするべくCBOの活動するケニア西部の遠隔地4拠点において活動協力者に対する参与観察と質問票を用いたインタビュー調査を2か月程度かけて行う。また、これまで調査を行ってきたマサイの集落にも3か月程度滞在し、住民がFGM廃絶運動にどのような意見を抱いており、どのような関わりを持っているのかを調査する。さらに、1か月をかけてCBOのFGM廃絶プログラムに参与しながら活動家と地元住民の間でどのような政治的、経済的、空間的、または言語的な交渉が行われているのかを観察する。 本年度は9月からようやく主要渡航調査を開始することができ、首都ナイロビにてジェンダー開発に関わる大規模NGOでの聞き取り調査を開始したところである。したがって、引き続き首都で行われているマクロレベルの廃絶運動の調査を進めるとともに、上述の研究計画に従って地方で行われている草の根的な動きについての詳細な調査を実施する。
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Research Products
(9 results)