2023 Fiscal Year Annual Research Report
イヌiPS細胞由来赤血球による新規輸血療法の実現に向けた基盤技術の構築
Project/Area Number |
22KJ2618
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 和人 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | イヌiPS細胞 / 赤血球 |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS細胞は、献血ドナーに依存しない赤血球の安定供給源となりうる。本研究では、ゲノム編集により、赤血球マーカーレポーターイヌiPS細胞株の樹立を行うことで、iPS細胞由来赤血球の作製法を検討する上で必要とされる評価系を構築し、イヌiPS細胞を用いた効率的な赤血球作製法を明らかにすることを目的としている。本年度では、以下の成果が得られた。 1.ゲノム編集によるレポーターイヌiPS細胞株の樹立とその特性解析 CRISPR-Cas9システムにより、赤血球マーカーであるGYPA遺伝子座にEGFP遺伝子を挿入したレポーターイヌiPS細胞(GYPA-EGFPイヌiPS細胞)を作製し、抗体なしにイヌiPS細胞由来赤血球の検出および定量化を試みた。ノックイン用プラスミドベクターをイヌiPS細胞へ導入すると、目的の遺伝子座へのノックインに成功したことが示唆される細胞クローンが複数得られ、それらはiPS細胞特性を維持していた。さらに、これらのクローンから、われわれが構築したプロトコールで赤血球へ分化誘導した。その結果、分化細胞は、EGFPの発現が確認され、経時的にフローサイトメトリー解析を行ったところ、EGFP陽性細胞の割合は95%以上まで上昇した。これらのことから、GYPA-EGFPイヌiPS細胞の作製に成功し、イヌiPS細胞由来赤血球系譜細胞を抗体なしで簡便に解析可能となった。 2.イヌiPS細胞の培養条件の検討 イヌiPS細胞から赤血球を作製するうえで、イヌiPS細胞培養条件の効率化は非常に重要である。そこで、ヒト幹細胞用市販培地および足場剤がイヌiPS細胞培養へ応用可能か検討した。その結果、StemFlexまたはmTeSR Plus培地とビトロネクチンまたはGeltrexの足場剤を組み合わせることで、週末の培地交換なしに効率よくイヌiPS細胞を培養可能であることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)