2022 Fiscal Year Annual Research Report
背景磁場を含む6次元理論におけるヒッグス・インフレーション
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22J15562
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
廣瀬 拓哉 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 高次元理論 / 階層性問題 / インフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に背景磁場を含む6次元理論でヒッグス・インフレーションを提唱することを目的とする。より具体的には、次の2つを研究目的とし、最終的に2つの研究目的を融合させる。第一の目的は、背景磁場を含む6次元理論を電弱相転移へ応用し、階層性問題(ヒッグス粒子の質量スケールと新しい物理スケールの間の乖離)を解明することである。この目的をさらに具 体化すると、次の2段階となる。まず物質場を含むSU(2)×U(1)電弱ゲージ理論に拡張し、背景磁場を含む6次元理論で電弱相転移が起こるか詳しく調べ、背景磁場を含まない場合との相違 を明白にする。その後階層性問題について、背景磁場を含む6次元理論の特徴を応用して解明する。第二の目的は、背景磁場を含む6次元理論をインフレーションへ応用し、高次元理論の 観点から、より現実的な模型でインフレーション機構を提唱することである。本研究は、背景磁場を含む6次元理論が素粒子標準模型を超える理論の候補としての重要性を高め、初期宇宙のインフレーションとの関連性を指摘する点に意義がある。 本年度は、第一の目的である背景磁場を含む6次元理論を電弱相転移へ応用し、階層性問題を解明することに着手した。当該目的に関して、SU(2)×U(1)電弱ゲージ理論に拡張した理論を考え、5月に研究論文を発表した。物質場を導入する目前で、専門的な問題が発生し、その問題を解決するために現在も第一の目的を研究中である。第二の目的に関して、超弦理論の立場から背景磁場を含む6次元理論を経由し、ヒッグス・インフレーションが提唱できるか研究中である。 その他、当該研究と間接的に関連する研究論文を3月に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた第一の目的が、ある一定の成果を挙げ研究論文として発表したものの、予期せぬ専門的な問題が発生した。本研究における専門的な問題を解決するためには、計算の妥当性を再確認する必要がある。また、次の段階として物質場を含め電弱相転移を議論する必要があるが、物質場の導入も技術的な困難があることが発覚した。数値計算である程度解決できることが判明したが、その数値計算の妥当性も議論する必要がある。これらの2つの問題が研究の進捗状況に影響を及ぼしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画は、当初の研究計画通り遂行する。ただし、本研究の第一目的が想定以上の困難さを抱えていることが判明した。第一の目的を遂行するためには、現在議論している問題を解決しなければならない。問題の具体的解決策は、現在も共同研究者と議論中であるが、解決案はいくつか提案されている。提案された解決案を虱潰しに考え、十分妥当性のある解決策が見つかれば、第一の目的を再考する。第一の目的が遂行できた場合、当初の予定通り、第二の目的であるヒッグス・インフレーションについて提唱を試みる。
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