2023 Fiscal Year Research-status Report
近現代イギリスの消費文化と生活協同組合―国際取引と女性たち
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22KJ2629
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
浮網 佳苗 同志社女子大学, 表象文化学部, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 国際協同組合運動 / 倫理的消費 / 自由貿易 / イギリス現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、引き続き戦間期イギリスの消費者による協同組合についてグローバルな視点から考察することに取り組んだ。とりわけ女性組合員による国際組織の活動の背景にあった経済思想および具体的な取り組みを前年にイギリスで入手した一次史料(イギリスの女性組合員や女性の国際組織に関する史料)をもとに考察した。 イギリスの女性組合員は日常的に店舗を利用している消費者としての立場から、消費行動によって社会の改善を図ろうとした。彼女たちは国際的な運動においても中心的存在となり、消費行動によって世界経済のあり方を変えていこうと挑んだ。その基本にあった思想が平和であった。それは、戦争と結びついた競争経済ではなく、平和を実現する協同の経済こそが望ましいという信念である。そのために消費者として実践したことが、まず自由貿易を支持し、自由貿易によってもたらされた商品を日常的に購入することであった。彼女たちの考えによると自由貿易は国家間の連携をもたらし平和の実現に寄与するとされた。さらに、国際的な協同組合間の連携を呼びかけ、ドイツのような平和を乱す国で製造された商品のボイコットを呼びかけた。このように、本年は女性組合員の消費者としての具体的な取り組みを国際的な視野で明らかにすることができた。なお、研究の途上の成果については、2023年5月21日に名古屋大学で開催された日本西洋史学会にて報告した。また、当該年度の研究成果をもとに、論文として刊行するための準備をすすめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性たちの国際的な取り組みを知る史料が不足しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
女性組合員の国際的な運動において、その背景にあった経済思想をさらに細かく分析することで、国際協同組合運動における女性たちの貢献を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
研究対象国への渡航ができなかったため、次年度に海外調査を実施する。
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