2022 Fiscal Year Annual Research Report
小山田与清の書物をめぐるライフサイクルと索引の研究
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21J00181
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
梅田 径 青山学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 小山田与清 / 書誌学 / 和学 / 国学 / 彰考館文庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
小山田与清旧蔵書の調査研究において、国文学研究資料館のマイクロフィルムを利用した彰考館蔵本の調査が行われた。今年度まででおよそ400リールを超える資料を閲覧し、1600点3700冊を超える典籍の調査を行った。その結果280点ほどの小山田与清旧蔵書を、彰考館文庫蔵本中から抽出することができた。彰考館文庫が閲覧不可であり、コロナ禍での各種研究機関の閲覧制限があった上で、ここまで進むことができたのは奇蹟である。この結果、『群書捜索目録』の依拠本を確定する作業が進み、諸本調査の結果は日本近世文学会での発表として結実した。来年度以降に論文として発表していく予定である。 また、研究費による書籍購入の成果で、西野宣明の研究が進展した。これは『松宇日記』の刊行とも深く関わるだろう。松屋叢書の研究が進展したのも大きな成果としてあげられる。まだ全冊全部の調査には至らないが、国立国会図書館に蔵される資料のなかでほとんど手つかずの資料であった本書は、従来いわれていたような小山田与清の著作のみならず、源弘賢の著作なども含まれていることがわかった。これらの研究を進めたことで、小山田与清のみならず、子息である与叔、清年らの文芸活動の実態も明らかになり、高田早苗の小山田与清に関する記述は信頼がおけないものだということが判明した。 早稲田大学旧蔵書の調査もほぼ完了し、書誌学的調査はゴールが見えてきたと考えられる。今後は書誌的情報のみならず、その内容的検討や同時代の和学者・戯作者たちとの交流による学知の伝播と近代への波及を含めて考察する足がかりをえたものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による甚大な影響から抜け出す目処がついた一年間であった。国文学研究資料館のマイクロフィルムを中心とする彰考館文庫蔵本の資料の調査は当初より若干の遅れが認められるが、もりおか歴史館、茨城県立歴史館などの資料閲覧によって、これまで視野に入らなかった諸資料を研究の対象としうることができるようになり、研究課題であった小山田与清の旧蔵書の研究が大きく前進した。 また、西野宣明関係の研究が進み『松宇日記』の影印刊行も行うことができた。これにかかわる調査の中で、小山田与清関係の記事を再検討し、当初の研究計画中の課題のいくつかが氷解することになった。国際学会への参加も毎年行うことができ、研究と成果発表の両面において当初の予定以上の進展があったと言える
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進は、従来の研究方向を引き継ぐことが第一となる。まず小山田与清旧蔵書の探究を第一の柱とすることは変わらない。しかし、これも目処がついてきたことで、散逸している小山田与叔旧蔵書の探究も必要になるだろう。 今後の研究としては、国立国会図書館『松屋叢書』の全容解明、『松屋外集』伝本の調査を行いつつ、小山田与清の歌稿についての整理を試みたい。成果発表としては、短期的には西野宣明『松宇日記』の解題執筆が控えているほか、EAJSへの発表も確定している。
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Research Products
(6 results)