2021 Fiscal Year Annual Research Report
ケメリンによる中枢性血圧制御:新たな高血圧症の病態機序
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21J21614
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山本 篤範 北里大学, 獣医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | アディポサイトカイン / 高血圧 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインの1つケメリンの活性断片であるケメリンー9の急性脳室内投与による昇圧作用の詳細な機序を解明するとともに、高血圧症モデル動物における中枢のケメリンとその受容体chemokine-like receptor(CMKLR)1の役割を解明することで、中枢性血圧制御をターゲットとした新規治療薬開発の基盤とすることを主たる目的とした。 本年度は、以下のことを明らかにした:1)自然発症高血圧ラット(spontaneously hypertensive rat: SHR)の視床下部室傍核においてCMKLR1タンパク質発現が対照のウイスター京都ラットと比較して増加していた、2)SHRにCMKLR1 small interfering RNAを脳室内投与することにより視床下部室傍核におけるCMKLR1タンパク質発現が低下し、収縮期血圧が低下した、一方、3)SHRの脳組織、血漿、および脂肪組織におけるケメリンタンパク質発現はウイスター京都ラットのそれと比較して差がなかった。以上の結果から、SHRの中枢におけるケメリン受容体CMKLR1の発現増加が少なくとも部分的には、SHRの全身血圧の上昇に関与していることが示唆された。これらの成果を学術論文に纏めて公表した。また、ケメリンー9は心臓線維芽細胞においてシグナル因子(Aktおよびextracellular signal-regulated kinase)のリン酸化(活性化)の亢進および活性酸素種の産生亢進により遊走能を促進することを初めて明らかにし、学術論文に纏めて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を纏めて、論文発表を行うことができた為。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究目的達成の為に研究を継続し、成果を纏めて発表出来るように進めていく。
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