2022 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo imaging of the perivascular space in mice brain using a two-photon microscope
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21J21178
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢野 仁愛 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 2光子顕微鏡 / 血管周囲腔 / perivascular space / 脳浮腫 / トリフルオペラジン / 定量化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳の老廃物排除において重要性が示唆される血管周囲腔(perivascular space:PVS)について、その動態と脳浮腫やアルツハイマー病の病態との関連性解明を目指している。本研究は、PVSの可視化・定量化・操作という3段階の実験系から実験を進めており、本年度は、このうち定量化に重点を置き、研究を遂行した。 PVS定量化技術の開発では、PVSの2光子顕微鏡データの高精細化、および、PVSの自動定量化について研究を進めた。PVSの2光子顕微鏡データの高精細化については、PVS領域が微小かつ不鮮明な領域であるため、先鋭化する必要があり、これを行った。前年度の研究において、先行研究から電子顕微鏡レベルでも構造が明らかにされている樹状突起スパインの画像を使用して、超解像技術とデノイズ技術を組み合わせた高精細化手法を提案したところ、被写体に特化した先鋭化が行え、再構成精度の向上が確認できたため、PVS画像にも本手法を適応した。また、PVSの自動定量化の研究では、2光子顕微鏡を用いて中大脳動脈を中心にミクロに撮像したPVSデータについて、z軸方向に連続取得したデータから生成したPVS断面図から、半自動的にPVS領域を抽出しPVS面積を定量する技術の開発に取り組んだ。 さらに、PVS操作に使用する薬剤を検討するため、薬剤トリフルオペラジンを使用した実験を行った。脳浮腫誘導後にトリフルオペラジンを投与した実験においては、脳浮腫改善が期待できる結果が得られ、引き続き実験を行う予定である。 これまでの研究を通して、可視化技術として、2光子顕微鏡を使用し、1本の血管に対するPVSというミクロなレベルにおけるPVS動態の観察手法と、蛍光実体顕微鏡を使用し、大槽内投与した蛍光色素を経頭蓋で、脳広域における蛍光強度変化を可視化する手法が整い、さらに、定量技術の開発と操作用薬剤の検討が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はPVSの定量化に重点をおき、定量技術と高精細化手法について研究を遂行した。また、PVS形態操作用薬剤の検討を進めた。 研究当初の予定において、本年度は定量化およびPVS操作技術の研究を実施する予定であり、「研究実績の概要」のとおり、定量化技術として、PVSの2光子顕微鏡データの高精細化、および、PVSの自動定量化について研究が進んでおり、さらに、薬剤トリフルオペラジンに関する研究も開始しており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
PVS定量化に関する研究を進め、面積・体積の半自動的定量手法を確立する。 脳浮腫誘導後にトリフルオペラジンを投与した実験において、脳浮腫改善が期待できる結果が得られたため、引き続き実験を行う予定である。さらに、脳浮腫誘導時、および非誘導時における、トリフルオペラジン投与時のPVS(血管周囲腔)の状態変化について、2光子顕微鏡を使用した観察も実施したい。
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