2023 Fiscal Year Annual Research Report
解糖系とリン脂質合成系の結合による細胞分裂の試験管内再構成
Project/Area Number |
22KJ2689
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 岳 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 合成生物学 / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の概要 ゲノム科学の進展により、細胞に最低限必要な機能は解糖系、タンパク質合成系、細胞分裂系、ゲノム複製系であることが明らかになった。これら4つの生化学システムは、全て試験管内において再構成が達成されているため、これらを組み合わせることで生命そのものの再構成に迫ることができる。私は特別研究員採用以前に、解糖系とタンパク質合成系の共役系を試験管内において再構成することに成功していた(G-PURE)。G-PUREは、解糖系が生産したエネルギーを使ってタンパク質を合成することができる。本研究課題では、G-PUREにリン脂質合成系を導入することによって、従来のリン脂質合成系の活性を向上し、細胞分裂を試験管内において再現することを目指している。 今年度の成果 今年度は、G-PUREが人工細胞内で動くための条件を模索した。人工細胞は試験管内とは異なり、グルコースが常に流入してくる開放系である。試験管内におけるG-PUREはグルコースを消費しきったと同時にタンパク質合成を開始することが明らかになっていたが、グルコースが流入し続ける人工細胞内ではタンパク質合成を開始することができない。そこで、グルコースの消費を待たずにタンパク質合成を開始できような条件を探した。従来のG-PUREのタンパク質合成がグルコースの消費を待っていたのは、グルコースを消費するために解糖系上流がATPを独占してしまっていることが原因だった。そこで上流の酵素濃度を低下させてタンパク質合成と同程度まで遅くすることで、グルコースの消費とタンパク質合成を並行できるような条件を発見した。 以上の成果を国際学会1件で発表した。
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