2022 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおける階層移動のダイナミズムと中間層の規範変化
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22J00877
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
宮川 慎司 上智大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中間層 / 貧困層 / 規範 / 階層移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フィリピンのマニラ首都圏における中間層が抱く「違法行為」に対する規範の変化がどのように起こったかを検討することが目的である。 本年度は、中間層の規範変化を探るために来年度から行う調査(以下、「本調査」とする)の準備を行った。その具体的内容は、大きく次の2点に分けられる。第一に、2022年秋と2023年春にフィリピンを訪れ、フィリピン大学第三世界研究所の研究員と複数回打ち合わせを行いながら、本調査の調査期間、調査地、調査対象等の詳細を決定した。また、調査において具体的に質問する項目についても、研究員の助言を受けながら、ある程度決定した。 第二に、2020年から現在までに起こったフィリピンの変化を探るために、これまで調査を行ってきたマニラ首都圏に位置するスラム地域でインタビュー調査を行った。新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、近年のフィリピン社会は大きく変化している。フィリピン社会の変化を把握することは、中間層の規範変化に関するインタビューを行う際の背景知識として、極めて重要になる。2022年度秋には調査地の全ての世帯に対して質問紙を用いたサーベイ調査を行い、2023年度春には少数の世帯に対して詳細なインタビュー調査を行った。また、スラム地域の調査のみならず、公的機関にも赴き主に新型コロナウイルス感染症が拡大していた時期の行政資料の収集も行った。 これら2点の作業は、来年度の本調査を行う準備として不可欠なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来年度から行う本調査に関して、調査期間、調査地、調査対象等の詳細を決定できた点、2020年以降のフィリピン社会の変化を観察できた点で、順調に進んでいる。ただし、事前に予定していた予備調査を実施することはできなかった。現在のところ、フィリピンにおける大学の学生を本調査の調査対象者として予定している。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、フィリピンの大学ではオンラインの授業が主に行われていたため、彼らは大学に来ておらず、彼らとコンタクトを取ることが難しかったためである。しかし、現在では対面授業が再開されており、多くの学生と大学内でコンタクトをとることができると考えられる。したがって、来年度の本調査時には、学生に対して円滑にインタビューを行うことができるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度行うことができなかった予備調査を簡潔に行った後、本調査を行う予定である。予備調査では、暫定的な質問紙を用いて少数の人々に対してインタビューを行う。その経験を基に、質問項目の追加や変更など質問紙をブラッシュアップさせた上で、本調査を行う。 最終年度である再来年度は、必要に応じて追加調査を行いながら、本調査の結果を論文等にまとめて公表する予定である。
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