2022 Fiscal Year Annual Research Report
シャコの打撃動作を規範とした外骨格弾性要素と空気圧人工筋肉による瞬発力発生手法
Project/Area Number |
21J22331
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chuo University |
Research Fellow |
伊藤 文臣 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 外骨格の弾性要素 / 空気圧人工筋肉 / モンハナシャコ / 生物模倣 / キャビテーション / 高速打撃機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,提案する”シャコの打撃動作を規範とした瞬発力発生機構”の最適化設計論の提案と構築を目的として研究に取り組んだ.シャコは2種類の外骨格の弾性要素と,筋肉要素の複合力により打撃力を強化している.本研究では,シャコにみられる弾性要素と筋肉要素をそれぞれ弾性バネと空気圧人工筋肉に置き換えたモデルと実機を開発した.開発したモデルと実機を用いて,シミュレーションと実機実験を行い,弾性バネと空気圧人工筋肉の複合力に基づいて,開発した機構の打撃力を最大化する弾性バネの弾性定数を算出可能なモデルを構築した.実験の結果から,圧縮バネの剛性を 100 N/mm (質量: 0 kg),1000 N/mm (0.20 kg),100 000 N/mm (0.40 kg) にすると,打撃動作に要する時間がそれぞれ 0.06 秒,0.121 秒,0.148 秒に最小化されることが明らかになった.また,圧縮バネの剛性を 14 N/mm から 20 N/mm に変化させると,アームの速度がそれぞれ 6.4 m/s (質量: 0 kg),3.3 m/s (0.20 kg),2.9 m/s (0.40 kg) に最大化されることが分かった.さらに,慣性が低い場合,アームは係数が 0.2 N/mm を超えると振動し,打撃に要する時間は徐々に増加することが分かった.また,これらの結果より,2種類の弾性バネと人工筋肉の複合力を考慮した機構の設計論を提案した.本研究における成果を応用することで,筋肉と複合的に作用する高速動作機構における複数の弾性要素の設計が可能になり,打撃における発生力を強化することに期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では当初の計画通り,”シャコの打撃動作を規範とした瞬発力発生機構”の最適化設計論の提案と構築をした.物品の納品関係で研究の延長をしたが,延長期間において当初の目的を達成したことから,研究についてはおおむね順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では「シャコの打撃動作を規範とした瞬発力発生機構」の設計論構築をする.具体的には,開発した瞬発力発生機構の水中での打撃力を計測し,そのメカニズムを明らかにする.まず,水中で駆動するロボットの筋骨格配置とモーメントアームの長さの関係から,水の抵抗や相変化に対する適切な筋骨格の配置を検討する.そこで,昨年度の研究で構築した外骨格の弾性要素の設計論を応用し,水中で提案する機構の動作をシミュレーションと実機実験の両面から検証する. 来年度の研究では,打撃モデルに水の抗力や浮力を実際の状態を考慮して適用し,より現実的な条件で生物を模倣する.さらに,実験結果から得られたデータを基に,水中生物を規範としたロボット機構であることを確認し,その動作速度を向上させるための筋配置についても明らかする.シャコの打撃においては,打撃箇所での圧力急低下に伴う相変化現象,すなわちキャビテーションの発生が観察される.生物の高速動作においてもキャビテーションが発生することが既に示されており,本研究でもその影響を検証する. 実験方法としては,ハイスピードカメラを用いてロボット機構の動作を撮影し,同時に高周波の力計測が可能なシステムを構築する.このため,防水加工された力センサとその計測値を保存するためのロガーが必要である.また,ハイスピードカメラの映像と衝撃力の同期を図るための実験環境も構築する.
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