2022 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線生成核種による地震時の土砂流出履歴の解読:変動地形学とプロセス地形学の融合
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22J01231
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
太田 凌嘉 中央大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙線生成核種 / 変動地形 / 土砂生産 / 活断層 / テフロクロノロジー / 越美山地 / 巨摩山地 / 阿武隈山地 |
Outline of Annual Research Achievements |
岩石・土砂中の宇宙線生成核種の存在量は斜面での削剥履歴を反映しており,年代情報とあわせて検討することで,対象地点での土砂生産過程を復元できると期待される.この仮説を検証し,本研究課題の目的を達成するために,本年度は,まず,調査対象とする流域を選定するための予察的な現地調査・地理空間情報解析を実施した.本年度の現地調査は,当初の計画で研究対象の候補地として検討していた山地流域(常願寺川流域など)のほか,新たに候補地として検討している越美山地(濃尾断層帯),巨摩山地(糸魚川ー静岡構造線断層帯),そして阿武隈山地南部(福島県いわき市)で行った.調査候補地は,地形・地質の条件だけでなく,断層の運動様式および活動度が異なる地点を対象としている.常願寺川流域と越美山地では,コア掘削およびピット掘削を行い,分析試料を採集した.巨摩山地では,山地斜面からの土砂生産の履歴を反映する第四系の分布と性状を記載し,地形編年のためのテフラを採集した.阿武隈山地南部では,湯ノ岳断層(2011年の福島県浜通り地震の震源断層)沿いの流域を対象とした地形計測と,渓流堆砂中の宇宙線生成核種分析を前年度までに実施しており,本年度は獲得したデータの解析と,それに基づく論文の執筆を進めた.福島県いわき市の山地流域を対象とした研究成果は,Journal of Geophysical Research:Earth Surfaceへ投稿し,査読・審査を受けているところである(2023年3月時点).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り調査・分析が進捗しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の予察的な調査を踏まえて,2年目以降は試料採集とその分析を開始し,データの解析を進める.得られたデータに基づいて土砂生産プロセスと地形発達をモデル化し,流域システムでの土砂動態を地理空間情報システム上で再現できるようにする.モデルの確らしさは,流域内にアーカイブされている地質学的な証拠に基づいて検証する.
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