2022 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸による筋細胞のエネルギー代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
21J40148
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 より子 東海大学, 農学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋 / アミノ酸 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸はタンパク質の構成要素であるだけでなく、エネルギー物質および細胞内シグナル分子として機能する。一方で、アミノ酸は細胞内において様々な物質に代謝されるため、エネルギー代謝に直接または間接的に影響すると予想される。これまでに、不可欠アミノ酸と培養細胞(筋細胞または肝細胞)のエネルギー代謝(解糖とミトコンドリアの呼吸)の関係について調べており、一部のアミノ酸は細胞の解糖を抑制することを報告した。本研究では、可欠アミノ酸が培養細胞のエネルギー代謝に与える影響について精査した。本年度はマウス筋芽細胞C2C12および肝細胞AML12に対し、12種類の可欠アミノ酸をそれぞれ添加し、細胞外フラックスアナライザー(Seahorse XFp, Agilent)によりエネルギー代謝に与える影響を観察した。その結果、特定のアミノ酸添加により解糖の指標であるECAR(細胞外酸性化速度)が有意に上昇、つまり解糖が亢進することがわかった。しかしながらC2C12筋芽細胞を分化させた筋管では有意な変化が見られなかった。これは筋芽細胞と筋管では測定時の細胞数や細胞密度が異なり、効果的なアミノ酸濃度が異なることが原因であると予想される。現在、この作用の再現性と機序について確認しており、生体レベルでの検証も進める予定である。基本的な栄養素であるアミノ酸により生体のエネルギー代謝を速やかに変化させる新たな機構が解明されれば、食物摂取と代謝制御の関係を深く理解することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画では細胞外フラックスアナライザー(Seahorse XFp, Agilent)測定により可欠アミノ酸が細胞のエネルギー代謝に与える影響を検討したのち、マウスよりハイスループットな線虫を用いて同様の試験を行う予定だったが、C2C12筋芽細胞と筋管で異なる結果が出たため、C2C12筋芽細胞の播種細胞数や培養期間等の検討が必要であり、線虫を用いた試験にまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果より、特定の可欠アミノ酸が細胞のエネルギー代謝を変化させる可能性があることが示唆されたが、再度C2C12筋芽細胞と筋管の細胞播種数や培養期間、アミノ酸濃度等を検討しなおす必要がある。C2C12細胞でのデータがまとまり次第、よりハイスループットなモデル生物であり、細胞同様に細胞外フラックスアナライザー測定が可能な線虫を用いた検討を進める。線虫でも細胞と同様の結果が得られた場合、マウスを用いた試験を外部委託し、より効率的に実験計画を遂行する。
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