2023 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸による筋細胞のエネルギー代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2779
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 より子 東海大学, 農学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 骨格筋 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アミノ酸が筋細胞のエネルギー代謝に与える影響について、培養細胞と生体を用いて検証する。これまでに細胞外フラックスアナライザー測定により、一部の必須アミノ酸添加によりC2C12筋管のECAR(解糖の指標)が低下、つまり筋管の解糖を抑制することが確認された。特に筋細胞内のタンパク質合成促進作用を持つロイシンが、筋細胞特異的に解糖抑制作用を示すことを報告している。必須アミノ酸だけでなく、非必須アミノ酸であるアルギニンは、細胞のタンパク質合成促進作用を示すことが報告されており、多くの非必須アミノ酸は糖原生アミノ酸として糖新生に用いられ、細胞中のエネルギー代謝に影響を及ぼすことが予想される。そこで、本研究ではマウス肝細胞株Aml12およびC2C12筋芽細胞に種々の非必須アミノ酸を添加し、細胞中のエネルギー代謝が変化するか否か検討した。まず始めに、通常の培養条件でOCRおよびECARを測定した。その結果、一部の非必須アミノ酸を添加したマウス肝細胞株Aml12、C2C12筋芽細胞及び分化させた培養筋管においてECARが有意に低下した。そこで、解糖ストレステストを行い、その作用をさらに検討した。その結果、糖原生アミノ酸の一つであるグルタミン酸投与は筋細胞特異的に解糖能を抑制した。さらに、その影響は分化した培養筋管においてより顕著だった。一方で、マウス肝細胞株Aml12やC2C12筋細胞のOCRに有意な差は見られなかった。先行研究ではラットの神経細胞へのグルタミン酸投与により、糖新生が亢進しECARが有意に増加することで乳酸生成が増加することが報告されている。これらのことから、非必須アミノ酸であるグルタミン酸もロイシンと同様に筋細胞特異的に解糖を抑制することが予測されるが、その作用機序は不明であり更なる検証が必要である。
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