2022 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスによる高速EV計測・解析技術の開発
Project/Area Number |
21J01468
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
津山 慶之 東京医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ流体工学 / 光学計測 / 細胞外微粒子 / マイクロ液滴 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外粒子(EV: Extracellular Vesicles)は、細胞間の情報伝達ツールとしてがんなどの様々な疾患に関与していることが近年明らかにされてきている。EVの粒子サイズや組成に多様性があることが報告されているが、その多様性の詳細と生物学的な役割は分かっていない。そこで本研究では、マイクロ流体デバイスを用いることで多様なEVを精細に分類して選択的に分取し、その生物学的役割を明らかにすることを目指した。2022年度は主としてEVを高速かつ正確に計測・分取するための計測システムと流体デバイスの開発と最適化に取り組んだ。微粒子由来の微弱な信号を高感度に計測可能な計測システムを設計・開発し、実際に脂質膜や膜たんぱく質を蛍光染色したEVを検出できることを実証した。次に、計測情報に基づいて個々のEVを高速で分取するために、fL体積の極微小な液滴を高速で分取可能な流体デバイスを開発した。開発したデバイスによって毎秒30,000液滴以上という高速での液滴分取を実現した。最後に上記の計測と分取を統合した実験システムを構築し、各部分を集積化したマイクロ流体デバイスを設計、作製した。計測から液滴分取までのタイミングを一致させるためにデバイス構造や光学系を工夫することで、高い正確性かつ高速で狙った液滴を分取できるシステムを構築した。さらに実験条件を最適化することで、計測情報に基づいて直径100nmの蛍光粒子を選択的に分取できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定ではEVの無標識計測技術を開発することを今年度の目標としていたが、微粒子の計測・分取が可能であることを先に実証するためにマイクロ流体デバイスの開発と最適化に優先して取り組んだ。そのため、計測法の開発を予定通りに進めることはできなかったが、蛍光信号によってナノ粒子の分取を実現するところまで研究を進めることができた。よっておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
膜たんぱく質等を蛍光染色した細胞外微粒子を計測して選択的に分取し、分取された細胞外微粒子の回収方法を確立することで後段の遺伝子発現解析や機能解析に取り組む。上記と並行して無標識での細胞外微粒子の計測手法の開発にも取り組む。
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Research Products
(7 results)