2023 Fiscal Year Annual Research Report
患者月経血を用いた妊娠高血圧症候群の新規疾患モデル開発に関する研究
Project/Area Number |
22KJ2784
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
細谷 聡史 東京慈恵会医科大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 月経血 / 間葉系幹細胞 / 3次元培養 / 初代培養 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度には、まず不妊症患者から外来受診時に月経血を採取し初代培養を行った。16症例のうち10例で紡錘形の間葉系細胞の初代培養に成功した。採取された細胞は間葉系幹細胞の特徴であるプラスチック培養皿への生着性・増殖性を有すること、脂肪・骨・軟骨への分化能を有すること、また間葉系幹細胞に特徴的である表面マーカーのCD73, CD90, CD105が陽性であることを確認した。また同様に上皮細胞に適した培養条件で培養を行い、月経血より子宮内膜上皮細胞が培養可能なことを示した。次に3次元培養法の確立のため、子宮摘出術後の子宮検体より採取・培養した子宮内膜間質細胞を細胞外基質とともに1週間培養しシートを作成したのち、子宮内膜上皮細胞をシート上に播種しさらに1週間培養した。本手法で作成したシートは組織学的に子宮内膜様構造を有し、またエストロゲン、プロゲステロン、cAMPの添加により脱落膜化に関わる因子(PRL、IGFBP-1)のmRNA発現の上昇をqRT-PCRで確認した。 次年度は子宮内環境を考慮し低酸素条件(5% O2)における細胞増殖への影響の検証を行った。Room airと比較し5% O2条件下において培養開始7日目で細胞数は1.2~1.5倍に増加しており、低酸素条件において細胞増殖速度が上昇することがわかった。 研究は申請者の異動に伴い上記までの結果となった。これまでに月経血由来間葉系幹細胞・上皮細胞の初代培養法の確立、また子宮内膜上皮・間質細胞からの3D子宮内膜シートの作成に成功し、さらに月経血由来間葉系幹細胞は5%O2下で増殖能が増加することを示した。本研究成果の一部は所属研究チームでの新規不妊治療法の研究開発にも応用され、成果の発表も行った。一方で妊娠高血圧症候群既往患者の細胞を用いた検討には至ることができなかった。引き続き所属研究チームでの検討を実施していく予定である。
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