2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21J21541
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福島 光太郎 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | X線天文学 / 銀河団 / 早期型銀河 / 銀河団ガス / 化学進化 / 元素合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケンタウルス座銀河団に加えて、ペルセウス座銀河団やおとめ座銀河団の中心銀河を含む14個の早期型銀河について、XMMが搭載するX線回折格子分光器RGSの観測データを用いて酸素、ネオン、マグネシウム、鉄、ニッケルの組成比および空間分布を調べた。2022年度に発表した論文によって明るいケンタウルス座銀河団中心など明るい天体では、RGSでも組成比空間分布を評価できることが示されている。この結果、貴ガス元素であるネオンと通常元素である酸素、マグネシウム、鉄などの空間分布には差がみられない事がわかった。これはケンタウルス座銀河団でみられた分布と同様であり、早期型銀河中心で一般にみられる性質なのかもしれない。やはり冷たいダストにより元素組成比減少がおこるという説では解釈しがたい結果である。また銀河団・銀河群中心銀河ではガス温度が1 keV以上、それ以外の早期型銀河では1 keV以下となった。銀河団中心銀河の中には、宇宙年齢をかけて積分した恒星の質量放出が観測されるガス質量に不足するほど大質量の天体も存在した。このような天体の元素組成比パターン(窒素、酸素、マグネシウム、ニッケル)は太陽組成比に近かった。一方で低温の早期型銀河ではネオン、マグネシウム、ニッケル組成比が銀河団中心銀河や既存の元素合成モデルに比べても高かった。これらの元素を供給する星風や超新星の寄与が早期型銀河と銀河団中心銀河で大きく異なるとは考えにくく、低温ガス中における元素組成比測定の不定性が示唆される。以上の結果をとりまとめて米国天文学会誌のひとつであるアストロフィジカルジャーナルに投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の早期型銀河でRGSによる組成比の半径分布がネオンも含めて平坦であったことは興味深い結果であり、早期型銀河中心におけるダストの影響に制限を与えることができるようになる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究から低いガス温度で明らかに高い組成比がえられたことの解釈は重要である。この結果がリアルなものか系統誤差によるものかについて議論を深めていきたい。まもなく打ち上がるXRISMのX線高精度分光による熱的プラズマの研究にも大きく波及する可能性がある。
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Research Products
(9 results)