2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2797
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福島 光太郎 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 超新星元素合成 / 化学進化 / 銀河 / 銀河団 / 星生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河団中心銀河を含む14個の早期型銀河について、XMM-Newton衛星搭載のX線回折格子分光器RGSの観測データを用いて酸素、ネオン、マグネシウム、鉄、ニッケルの組成比および空間分布を調べた結果がアストロフィジカルジャーナルから出版された。 前年度までの銀河団中心銀河や早期型銀河と対照的に現在も活発な星生成が継続しているスターバースト銀河M82につき、RGSの観測データを用いて酸素、ネオン、マグネシウム、鉄、ニッケルの組成比を調べた。M82銀河では通常の熱的プラズマからの放射のほかに、高温イオンと冷たい物質の衝突に伴う電荷交換反応によるX線放射が議論されており、とくに6階電離酸素輝線の強い禁制線が根拠とされていた。分散光を利用するRGSではスペクトルの形状が放射源の空間情報に応じて変化するため、放射の空間分布を考慮することが重要である。本研究では7階電離酸素などを放射する成分に比べ、6階電離酸素を出す成分の方がより広がった分布を持つ可能性が示唆された。温度が異なる成分ごとに異なる空間分布を仮定して放射を再現すると、M82のネオン/酸素、マグネシウム/酸素比は太陽組成比に近く、鉄/酸素比は太陽の半分程度であった。これは先行研究と異なり、スターバースト銀河の元素供給で重要と考えられる重力崩壊型超新星のモデル予測でよく説明できるものであった。以上の結果をとりまとめてアストロノミー・アンド・アストロフィジックス誌に投稿し、2023年度内に掲載を受理された。また関連して、オリオン座方向の天の川銀河内に存在する星生成領域に付随したX線放射領域のX線スペクトル解析を、すざく衛星およびHaloSat衛星で行った結果と解釈について、日本天文学会が発行する欧文研究報告に投稿中である。
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Research Products
(11 results)