2023 Fiscal Year Annual Research Report
数値解析技術とAIを融合した洪水氾濫予測システムの開発
Project/Area Number |
22KJ2798
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 毅彦 東京理科大学, 創域理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 洪水予測 / 河川水位 / データ同化 / 深層学習 / Lv4雨量 / 水文水理統合モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
洪水予測を行う上で基盤となる数値解析モデルとして,降雨流出氾濫(Rainfall-Runoff-Inundation, RRI)モデルと河川流(River Flow, RF)モデルを融合したRRI-RFモデルを開発した.これにより,降雨を入力して任意地点における河川水位と流量の双方を算出可能なシミュレーションの枠組みを構築し, 河川水位の縦断的な予測を可能とした.本モデルの現地河川流域への適用性を検証するため,千葉県一宮川流域と鹿島川流域に適用し,モデルの計算精度が良好であることを確認するとともに,流域治水による流出抑制や洪水調節の効果を組み込んだ流域全体における降雨流出・河川流計算を可能とした.本解析では,河川流モデルとして一次元不定流モデルを用いており,河川合流部などでは流量の空間勾配が大きくなる故に運動方程式の移流項が卓越し,水面形に大きな影響を及ぼすことが確認された.モデルの支配方程式として運動方程式から非定常項や移流項を省略した河川流モデルも多く見られるが,精緻な水面形の予測を実施する上では移流項の重要性を示した. このRRI-RFモデルをベースとして,比較的観測情報の少ない中小河川流域であっても数値シミュレーションに基づく河川水位予測が可能となった.さらに,河川水位の観測データが十分に得られる流域では,これまで実施してきた多地点観測水位のデータ同化や機械学習モデルによる水位予測モデルをRRI-RFモデルに組み込むことで,高度な河川水位の将来予測が実現可能だと示唆される.加えて,過去の洪水時における降雨量と河川水位の相関性から氾濫の恐れがある降雨量(Lv4雨量)を算定し,これに基づく洪水予測をリアルタイムで解析する枠組みも日本全国全ての一級水系を対象に完成しており,本研究の成果に基づき多層的な洪水予測情報の発信が可能となった.
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Research Products
(5 results)