2022 Fiscal Year Annual Research Report
Large time behavior of solutions to nonlinear hyperbolic and dispersive equations with weakly dissipative structure
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22J00983
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西井 良徳 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 半線形波動方程式 / 弱消散構造 / エネルギー減衰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は弱い消散構造を伴う半線形波動方程式の初期値問題を2次元ユークリッド空間において考察した.非線形消散構造を特徴づける「Agemi型構造条件」の下で存在が保障される時間大域解について,その消散構造が部分的に退化する状況での解の時刻無限大における挙動には多くの未解決部分が残っている.方程式が単独である場合には,解のエネルギーに対する上からの評価が得られており,特に非線形項がAgemi条件を満たすが零条件を満たさない場合には解のエネルギーは時間減衰することが知られている.一方で下からの評価やその減衰率の最適性に関しては未知であった.本年度は佐川侑司氏,佐藤拓也氏との共同研究で,非線形項がAgemi条件を満たすが零条件を満たさない場合の解のエネルギーの下からの評価を与えた.さらに,消散構造が部分的に退化している場合に対して,既に得られていた上からの評価を改善した.より具体的には,既知の結果では解のエネルギーの上からの減衰率は非線形項の構造から定まる正定数λと任意に小さい正の数δを用いてlog tの-λ+δ乗と表すことができていた.本年度の研究では,消散構造の退化と対応する条件を満たす初期値に対する解のエネルギーが下からlog tの-λ乗で評価できることを示し,さらに上からの評価に関しても「δの損失」を取り除くことに成功した.これらにより,Agemi条件を満たす単独半線形波動方程式に対して,その消散構造が部分的に退化している場合の解のエネルギー減衰率の最適性を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画を上述の通り進展させることができたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き弱い消散構造を伴う非線形双曲型及び分散型方程式に関する研究を行う.次年度は特に非線形クライン・ゴルドン方程式に対して (1)消散構造を伴う単独微分型方程式の解のエネルギー減衰・非減衰 (2)連立系に対する非線形消散条件について を中心に取り組む予定である.
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