2023 Fiscal Year Research-status Report
Large time behavior of solutions to nonlinear hyperbolic and dispersive equations with weakly dissipative structure
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22KJ2801
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西井 良徳 東京理科大学, 理学部第一部数学科, ポストドクトラル学振研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 非線形クライン・ゴルドン方程式 / エネルギー減衰 / 消散構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に1次元ユークリッド空間において斉3次の非線形項を伴う非線形クライン・ゴルドン方程式の初期値問題について考察した. Sunagawa(2006)により古典解の時間大域的存在を保証する非線形項の構造条件(A)及び時間大域解の漸近形が得られ, さらにKim-Sunagawa(2014)では(A)より強い条件(B)の下での時間大域解のルベーグノルムの減衰評価が得られている. 一方で(A)を満たすが(B)を満たさない場合についても時間大域解の減衰評価が得られるかは未知であった. 本年度は,非線形項が(A)を満たすが(B)を満たさない場合にも時間大域解のルベーグノルムが時間減衰することを示し, その上からの評価を与えた.条件(A)は非線形項から定まるある複素数値実関数の実部の下限が非負であると表現でき, 条件(B)はその関数が常に正の値をとり無限遠方で増大する場合に対応している.本年度の研究では, 非線形項が(A)を満たすが(B)を満たさない場合は, (1)その関数が常に正の値をとり無限遠方で減衰する, または(2)ある1点で0をとり他の点では常に正の値をとる, のいずれかに分類されることを示し, それぞれの場合に時間大域解のルベーグノルムを上から評価した. 特に(1)の場合には非線形項から決まる関数の無限遠方での減衰率に応じて時間大域解のルベーグノルムの減衰率が決まり, 条件(B)の下での既知の結果と合わせて, ある関数の無限遠方での挙動と解の時間減衰の様子の関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り, 当初予定していた計画のうち消散構造を伴う非線形クライン・ゴルドン方程式の解の挙動に関する未解決部分を分類し, 減衰評価を得る部分で進展が得られたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き消散条件下での非線形双曲型及び分散型方程式の解の漸近挙動に関する研究を行う.次年度は非線形クライン・ゴルドン方程式に対して (1)解の(高階)偏導関数についての減衰評価 (2)初期値のコンパクト性の仮定の除外 について取り組む予定である.さらに本年度までに得られた手法の発展として (3)ポテンシャルつき非線形シュレディンガー方程式の解の漸近挙動 についても取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
共同研究者との研究打ち合わせのための出張を延期したため次年度使用額が生じた。延期分の出張を次年度に行う際に使用する予定である。
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