2023 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of the formation process of spherical colloidal clusters.
Project/Area Number |
22KJ2807
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大貫 良輔 東京理科大学, 創域理工学部先端物理学科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 球状コロイドクラスター / 構造色 / 形成過程 / コロイド結晶 / 正二十面体 / 十面体 / 光学材料 / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実施計画に基づき、蒸発過程における球状コロイドクラスターの結晶化の様子の直接観察を行い、球状コロイドクラスターの構造がどのように決められるのかについて、特に液滴の蒸発速度と構成粒子数との相図の相境界を調べた。2022年度の研究において観察光学系を完成させており、3つの照明条件を用いることで構造色から形成された構造を把握することが可能となった。蒸発過程中の液滴の一連の観察より、始めに液滴の界面から結晶化し、オニオン構造の特徴である反射が観察された。その数分後に、今度は内部から結晶化が起こり、正二十面体、十面体、FCC(面心立方格子)単結晶構造のいずれかの反射パターンに切り替わることが分かった。そこで、球状コロイドクラスターの構造を決定する要因と考えられている液滴の蒸発速度と構成粒子数を変えて蒸発過程の観察を行い、形成される構造を調べた。以前の我々の研究において構成粒子数が10万個以上の巨大な正二十面体構造の球状コロイドクラスターが発見されたため、本研究では10万個から30万個の粒子数をターゲットとした。この構成粒子数では熱力学的な観点からFCC構造が安定となることが分かっている。しかし、蒸発過程における球状コロイドクラスターの結晶化の様子の直接観察を行った結果、正二十面体構造や十面体構造も形成された。また、形成される構造は構成粒子数に依存していなかった。これは、少なくとも10万個以上の球状コロイドクラスターにおいては熱力学的な安定性で構造が決定されているわけではないことを意味する。したがって、本研究により球状コロイドクラスターにおいて形成される構造は熱力学的な観点だけでなく、動力学的な視点が必要であることが示された。これらの成果は、所望の構造を作製するための条件を明らかにするために必要であり、色材のような光学材料へ応用する際に大いに役立つと期待される。
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Research Products
(3 results)