2023 Fiscal Year Annual Research Report
Universality Investigation of Subcritical Turbulent Transition in Wall-bounded Shear Flow and Development of Stochastic Model for Engineering Application
Project/Area Number |
22KJ2814
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
神山 一貴 東京理科大学, 創域理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 亜臨界乱流遷移 / チャネル流 / 環状流 / 直接数値シミュレーション / DNS / 吸収状態転移 / 有向浸透現象 / 乱流層流共存パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,壁面せん断流の乱流維持限界と遷移現象に潜む普遍性解明,そのモデル化を目指し,チャネル流と環状流を対象にスーパーコンピュータを利用した大規模な直接数値シミュレーション(DNS)を実施し,レイノルズ数を下げた際の乱流から大域的な層流への遷移と有向浸透現象(DP)との関連性調査を行った. 遷移の普遍性調査については,中国 上海交通大学と東京大学との共同研究として,側壁を課した広さの異なる巨大チャネル流を対象に大規模DNSを継続して実施した.いずれも下臨界値は概ねReg = 1000であるが,乱流層流共存構造の形状と挙動は領域の広さに依存することを観測し,あるスパン方向広さを境にDP普遍性のクラスが異なることを発見した.これまで,実験とDNSでは遷移ルートと下臨界値の乖離が指摘されていたが,従来DNSで多用される周期境界が実験を始めとした現実的な有限境界から乖離した境界条件であるためと特定した.なお,DNS結果のLagrange的解析では,移流系における局在乱流の移動を定量的に補正するKullback-Leibler情報量を用いた新手法を開発した. 環状流の遷移については,フランス ESPCI ParisとLISM-CNRSとの共同研究として実施した. DP的確率モデルによる遷移下の低円筒比環状クエット流における乱流パフの形状・挙動の再現において,独立2変数(層流形成と拡散)が時空間スケールを決定することを突き止めた.さらに,極低円筒比環状クエット流では,より低いレイノルズ数Re = O(10)でも乱れを維持可能であることを示唆する結果を得た. 研究期間全体を通じて,乱流層流共存パターンのデータを包括的に蓄積,乱流維持限界や遷移現象に潜む普遍的特徴を明らかにし,DP普遍性に基づく代理確率モデルを提案したことで,低レイノルズ数での乱流遷移抑制・伝熱促進に資する知見を得られたといえる. 上記のDNSおよび確率モデルに関する成果は,それぞれ英文雑誌へ投稿する予定である.
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